藤井聡太王位、タイトル戦敗退なし最速&最年少で通算10期達成 羽生善治九段より3年早い到達
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 将棋藤井聡太王位(竜王、叡王、王将、棋聖、20)が、9月5、6日に行われた第63期お〜いお茶杯王位戦七番勝負第5局で挑戦者の豊島将之九段(32)に勝利し、タイトル防衛と3連覇を達成した。シリーズ成績は4勝1敗。この結果で、通算タイトル獲得数は史上最速・最年少で10期に到達した。

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 今シリーズは、3連覇を目指す藤井王位に、2期連続の挑戦で4期ぶりの王位奪還を狙う豊島九段との激突なった。先勝を飾ったのは豊島九段。しかし、藤井王位はその後3連勝を飾り、一気に挑戦者を追い詰めた。全5局で「角換わり」の戦型を志向。本局は出だしから互いに慎重な序盤戦をたどり、早々に前例を離れた。1日目は、中盤の難所で藤井王位の手番で指し掛けに。2日目に入ると、藤井王位は前日の受けの姿勢からは一転、猛攻を開始した。

 後手は積極的に戦線を拡大。自玉の延長戦には先手の飛車が待ち受けていることも構わず、激しい戦いを仕掛けていった。しかし、豊島九段も簡単には倒れない。一見動きが制限されそうな自深くに角を打ち込み均衡を保った。激しい攻防戦となった終盤戦では、後手が1筋に角を打ち込む一手に、ABEMAの中継に出演した広瀬章人八段(35)は「名手。発見しにくい手」とコメント。先手は細かい技を多数繰り出し藤井王位に迫ったが、後手はじわじわとポイントを積み上げリードを拡大。最後は飛車を走った一手から先手を討ち取り、大きな勝利を手にした。

 大一番を制した藤井王位は、「中盤以降は常に玉が薄くて自信がない将棋でしたが、崩れずに指すことは出来たのかなと思います」と激戦を振り返った。シリーズは4勝1敗で防衛を達成。「すべて角換わりの将棋でしたが、どの将棋も中盤が難しくて、長考してもわからない場面が多かった」と総括した。

 一方、2期連続で挑戦を阻まれた豊島九段は「あまり思わしい順が見つからなかったが、いろいろ手段はあったと思う。早い段階で悪くなってしまう将棋が多く、内容も良くなかった」とコメントした。

 七番勝負開幕時には19歳だった藤井王位は、期間中の7月19日に20歳の誕生日を迎えた。この王位防衛が藤井王位にとって20代となって初めてのタイトル。2020年度の棋聖挑戦以来、一度としてタイトル戦での敗退がない藤井王位は、史上最速&最年少で節目の10期到達となった。歴代最多99期の羽生善治九段(51)の10期達成は23歳4カ月。初タイトルの棋聖獲得からの到達は4年1カ月を要した。さらに到達までには2度敗退しているだけに、藤井王位の偉業が際立つ。通算獲得数は歴代9位をキープ。連続記録がどこまで伸びるか、今後ストッパーは現れるのか、ますます目が離せない。

 藤井王位は、10月には今年度3つ目の防衛戦となる竜王戦七番勝負が開幕。竜王経験者でもある広瀬章人八段(35)を挑戦者に迎えるとあり、気の休まる間は無い。さらには、年度内六冠獲得に向けた棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定トーナメント、最年少名人を目指す順位戦A級でのリーグ戦と、ファンにとっても見どころは目白押し。藤井王位の今後の戦いに期待は高まるばかりだ。

 ◆藤井 聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市出身。中学2年生時の2016年10月に史上最年少で四段昇段、史上5人目の中学生棋士となる。2020年度の第91期棋聖戦でタイトル初挑戦。渡辺明棋聖(当時)を破り、17歳11カ月で最年少タイトルホルダーとなった。以降、竜王1期、王位3期、叡王2期、王将1期、棋聖3期と、獲得と防衛を重ねて通算10期。棋戦優勝は5回。通算成績は278勝56敗、勝率は0.8323。趣味は鉄道、チェス。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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