将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の本戦トーナメント準決勝第2試合、チーム渡辺とチーム斎藤の対戦が9月17日に生放送された。チーム斎藤がスコア3-2とリードしていた第6局は、チーム渡辺の渡辺和史五段(27)がチーム斎藤・木村一基九段(49)に勝利。どちらも受け将棋の棋風だが、渡辺五段が粘り強い指し回しで白星を持ち帰り、スコアを3-3のタイに戻した。
似た棋風の両者の対局は渡辺五段の先手番から相掛かりでスタート。序盤は渡辺五段がどこから仕掛けるかという予想がされていたが、先に仕掛けたのは相掛かりを得意とする木村九段の方。対局前に後手番からでも積極的に仕掛けると宣言していた通り、自ら飛車と角の交換に踏み切ると7筋の突破に成功。渡辺五段からすれば、いかに受け止めて反撃のきっかけを掴むかという展開になった。
最終盤に入ると、対局者も周囲の関係者もどちらが勝っているのかわからない大激戦に突入したが、ここから抜け出したのは辛抱を続けていた渡辺五段。対局後には「序盤はちょっとミスをして苦しめだったかなと思ったんですが、終盤はどうなっているかわからなくて。なんとか最後、詰みが見えました」と振り返るように、持ち時間残り数秒という中で、反射的ながら間違いのない手を続け、勝機を逃さなかった。
解説を務めていた屋敷伸之七段(50)も「大激戦で、最終盤も何がなんだかわからない。最後は渡辺五段が粘り強い指し回しでした。最終盤でなんとかうまく残し切った。懐の深さが見られました。相掛かり系特有のバランスですね。見応えがありました」と白熱の勝負だったと称えていた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)