白髪と口ひげが印象的な水彩画YouTuberの柴崎春通さん(75)。テクニックやコツを動画で優しく伝授するYouTubeチャンネルは、登録者数が149万人を超える人気っぷりとなっている。
「透明水彩というのは下に塗った色が上に塗った色で隠すことはできない、透けて見える。透明水彩絵の具というのは特殊な画材であると同時に他の画材ではできない可能性があるんですね」
元々は水彩画講師や画家として活動し、毎年個展も開いていたという柴崎さん。世界中の人が見られる発表の場として2017年からYouTubeを始めた。
撮影は柴崎さんが一人で行い、編集は息子さんが担当。親子2人、二人三脚で日々、さまざまな企画を生み出している。YouTubeの内容は水彩画のテクニックやコツだけにとどまらない。
人気の「使い倒すシリーズ」は、クレヨンなど子どもが使う身近なものをプロ画家が使い倒したらどうなるかというもの。
「手近な画材を使って一緒に絵を楽しんでいただけたら、少しでもこのコロナをみなさん元気に乗り越えてもらえるんじゃないかと思った。それで鉛筆とか、クレヨンあたりもいいかなとか。そういうので思い付きで始めたんですね。そうしたところ小学生くらい、もっと小さいお子さんから、それと一緒にお母さん方、小学校中学校終わって高校生当たりの方とか、そういう方たちもとっても興味もって見てくださるようになった」
他にも世界中の人から画材を問わず送られてきたものを添削する「添削シリーズ」など、あらゆる角度から絵を描く魅力を伝授している。そんな柴崎さんがYouTubeで大切にしていることを聞いてみた。
「『とにかく面白い』ってね、『絵を書かなきゃ損ですよ』みたいなね、そういうのは柴崎の動画は伝わっていると思うんですよ。柴崎の動画を見てると、『とても気持ちが落ち着いて、夜寝るときによく眠れるので申し訳ないけど寝落ちの動画として見てます』とかですね、そういうのが結構多いんですよ。そういう方たちに絵を描きながらも語りかけていけたら。柴崎も75年生きてきた自分の経験と価値が生かされるのかなと思って、その方向でもちょっとやっています」
作品だけではなく、書き手の魅力も伝わってくるのが柴崎さんの動画ならでは。動画を見ている人たちからは、「本当に工夫の神さまです!笑顔も声も心遣いも全て大好きです!」「柴崎さんの動画は『絵具とかってこう使うのか』いうのが非常にわかりやすいです」など絶賛の声が上がっている。
最近はデジタルアートやVRアートなど新しいことにも挑戦し、ジャンルの幅を広げている柴崎さん。一方で、書き手を必要としない「AIが作ったイラスト」も近年注目されているが、プロ画家としてどうみているのだろうか。
「新しいものが次々出てくるっていうのはやっぱり止められないですよね。当たり前のような流れですよね。そのうちすぐに柴崎の目をごまかせて、柴崎よりもっとすごい絵を。きっと明日はもうAIは描くんだと思うんですね。でも、その時に『この絵はAIじゃないよ。あの人が作った描いた絵だよ』という価値が出るんですよね間違いなく。あの人が描いたからということと、書き手にとっては私が描くこの気持ちの充実さ、その喜び。それはAIで置き換えることも奪うこともできないのだと思います」
(『ABEMAヒルズ』より)
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