プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の参戦している8チームの中で、当初の「超攻撃的」というイメージから、より確かな強さを求めて年々姿を変えているのがKONAMI麻雀格闘倶楽部だ。エース佐々木寿人(連盟)の圧倒的な攻撃力が注目されがちだが、昨期は新加入した伊達朱里紗(連盟)、EX風林火山から移籍してきた滝沢和典(連盟)は、どちらも攻め一辺倒ではなく、バランスもしくは守備意識がしっかりとした選手でもある。確実にチーム力を高めているが、過去4年で最高順位はファイナルシリーズ4位。“鬼門”ともいえるポストシーズンで、今年こそ主役になれるか。
今期から各チーム94試合と、4試合増えたレギュラーシーズン。長丁場ならではの難しさはあるが、チーム創設からエースとして活躍する佐々木からすれば、4年をかけて少しずつ感覚は掴めてきた。「チーム戦は難しいですね。メンタルコントロールも個人だけならなんとかなるけど、どういう精神状態でいるのか把握するのも難しい。掛ける言葉も難しい」と、特に不振に陥った選手へのケアは今でも悩むが、2年目に先輩・藤崎智(連盟)が入った年は、レギュラーシーズンでラスがわずか17回。安定して戦えるという経験も得た。
2年目からレギュラーシーズン、セミファイナルシリーズ、ファイナルシリーズと3ステージ制になったが、1年目の2ステージ制を含めて、レギュラーシーズンで敗退したことはなく、全てポストシーズンには進んでいる。ただしファイナルでの4位が2回、セミファイナルで敗退が2回。うまく戦えているとは言い難い。「ポストシーズンは本当に難しい。最初の失点、ポイントのマイナスが取り返しにくいですね。明確な答えがないです。どんなに調子がいい選手でも、ポストシーズンで変わってくる」と、過去にMVPを獲得したことがある自身を含め、いくらレギュラーシーズンで大活躍しても短期決戦のポストシーズンで、同じように結果が出るとは限らない。「ポストシーズンの数字が優勝のカギを握る。比重としてはポストシーズンです」と、運の要素もより大きくなる短期決戦でいかに勝つかという、大きなテーマに向き合っている。
チームは昨期、変革の時を迎えた。前原雄大(連盟)、藤崎が抜け、伊達と滝沢が入った。佐々木、高宮まり(連盟)との新たな4人体制は、約半年の戦いでしっかりとフィットした。ファイナル進出を果たし、チームとしては初年度に並ぶファイナル4位。1つ上、さらに優勝を目指すため、初年度からチーム担当を務めてきた石田進矢氏にかわり、植松斎永氏が新たな担当に就いた。今年もKONAMI麻雀格闘倶楽部は、監督は置かない。「監督は、その競技のプロフェッショナルであるべき。僕らは麻雀プロではないので選手にものを言える立場ではない。選手が気持ちよく打ってもらえる環境を整えるマネジメントをしたい」と、強力にサポートする。
単に見守るということではない。占い師と話す機会があったが、植松氏は「運は『運ぶもの』だそうです。運気を上げるには動くこと。アクティブに動いた方がいい」と、天運を待つのではなく、自ら動いて近づいていく。「外部の練習場を使ってみたり、いつもと違う練習をしてみたり。最前線で戦う選手のポテンシャルにかかっているので、どうやったら成長につながっていくのか。課題へのサポートですね」と、新たな環境をどんどんと整えていく。「チームの成熟度は上がっています。熟成された部分と新しく加えた部分で、絶対におもしろい結果になります」と自信をのぞかせた。
短期決戦で、あと一つ「何か」に阻まれてきたKONAMI麻雀格闘倶楽部。悩むことなく動きまくり、目の前の霧をかき消した時には、見たかった頂点の景色も近づいてくる。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)






