在学中しか着られないのものの、成長に合わせて買い換えるなど、家計への負担が大きい「学校の制服」。そこで、今年の4月から“ユニクロの既製服”を導入した高校がある。導入から半年の様子を取材した。
さいたま市にある市立大宮北高校。開校当初から男子は詰襟の学生服、女子はブレザーとスカートの制服だったが、今年入学の1年生から、従来の制服に加えユニクロで販売している既製服を制服として選択できるようにした。そのきっかけとなったのは、一人の生徒の声だったという。
「一昨年の年末ぐらいに、女子生徒が『スカートが負担だ』と。スラックスの登校ならOKということで、その生徒にはスラックスでの登校を許可した。並行して、スラックスの制服としての導入を検討し始めたのがそもそも。業者に見積もりを取ったりして準備を始めたが、その中でスラックスだけは金額がかなり高かった」(大宮北高校・筒井賢治教頭)
スカートではなくスラックスで登校したいという女子生徒の声をきっかけに、新しい制服の検討をスタート。生徒や保護者の経済的負担を軽減するため価格も重視した。
「生徒や保護者、先生方、本校を希望するであろう中学生やその保護者、いろいろな所にアンケートを取りながら、校内で委員会を作って揉んでいった。機能的であるとか価格、ジェンダーレスであるといった今考えるべき課題を皆でピックアップしていって、最終的に“既製服を制服として充てる”ことが、こちらが考えたコンセプトに一番近づけるかなと」
この決定は、ネットでも「手軽に毎日洗える制服は嬉しい」「もはやスーツみたいでダサイような」「すぐにダメになって買い直したら結局金かかるんじゃない?」など、大きな話題を呼んだ。
生徒たちも当初は驚いた部分があったそうで、ある女子生徒は「ユニクロって普段着ているイメージだったので、これを制服にするのかな?って驚きがあった」と話した。
こうして今年4月に導入された新制服。女子生徒はスカートだけでなくスラックスを選択でき、ジャケット、ボトムス、シャツに加え、10色以上から選べるポロシャツやセーターを自由に組み合わせることができる。既製服のためこれまでの制服より追加購入しやすく、費用はこれまでの3分の1程度になったという。
生徒たちは「スカートもブラウスも全部軽くて、洗濯もしやすいのですごく着心地が良いというのはある」「(別の服を)足したいなって思ったときに安くて買いやすかった」「生地が柔らかいから動きやすい。制服を着ている感じじゃないというか、気楽」と感想を述べた。
生徒からは好評だが、半年足らずで男子生徒のスラックスが木の椅子ですり切れてしまったなど、課題もあるという。
「耐久性はどうなんだとか、生地の問題であるとか。そうすると買うアイテムが増えるので、価格差は詰まるかもしれない。3年間というスパンで考えないと、単純比較はできないのかなと思う」
また、生徒からは「もっと沢山の色(の制服)が出て選べるようにしてほしかったり、リボンとかネクタイが欲しいなって思う」「女子は夏服だとベストとかなくて、Yシャツ1枚。なにか上に着られるものが欲しい」などのリクエストも。
生徒や保護者、皆の意見を取り入れて作る新しい制服。「かわいらしさがほしい」という生徒たちからのリクエストを受け、ネクタイやリボンも試作中だという。
「既製品のユニクロ商品なので、学校という特殊な場で使ったときには予測できないようなことも起こりつつある。半年やってだんだん(問題が)見えてきたので、来年度の入学生までにはある程度整理をして、だんだんブラッシュアップをしていきながら、生徒・保護者がより利便性の高いものを考えていきたいと思っている」
(『ABEMAヒルズ』より)
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