将棋の永瀬拓矢王座(30)が10月4日、神奈川県秦野市の「元湯 陣屋」で行われた第70期王座戦五番勝負第4局で挑戦者の豊島将之九段(32)に勝利し、タイトル防衛と4連覇を達成した。対局後に行われた会見では、連続5期または通算10期獲得で達成となる永世称号の名誉王座にあと1期と近づいたことにも触れ、「滅多に無いチャンスなので、ものにできるように頑張りたい」と意欲を語っていた。会見の内容は以下の通り。
――防衛4連覇を達成した今のお気持ちを教えてください。
豊島九段とは過去にタイトル戦(2020年の第5期叡王戦七番勝負)を1度やって取られているのと、これまでに藤井(聡太竜王、19)、渡辺(明名人、38)、豊島に一度も番勝負を勝ったことがなかったので、勝つことができて良かったなと思っています。
――シリーズ序盤戦の夏季は調子を落としているように見られていましたが、ご自身として状態はいかがでしたでしょうか。
去年も同じことをやってしまったので気を付けていたんですが、今年も同じ状態になって驚いた。気を付けて防げない要素もあると思いますが、5連敗は自己ワースト。かなり厳しい状態だったのかなと思います。
――ターニングポイントになったのは?
2局目の将棋。後手番で敗れると2連敗になってしまうので、勝負所だった。厳しい将棋でしたが、千日手に持ち込むことができて流れが変わって、徐々に…という感じになったと思います。
――今の状態は?
悪い時期と今の自分を比べて、どこが自分に合っていてどこが合っていないのかを考えていました。それが嚙み合ってきたのかなと思います。自分が良い状態を目指すにはどうしたらいいかというのが、少しづつ実現出来てきているのかなと思います。
――来期は名誉王座資格獲得がかかります。
いつも通り頑張るしかないですが、滅多に無いチャンスなので、ものにできるように頑張りたいと思っています。
――藤井竜王が5冠を持つ現状についてどう見ていますか?
(タイトルを)5個持たれているので、トーナメント戦で当たることは少ないのかなと思いますが、どうにかするには自分がタイトル戦に出て冷や汗をかいてもらうしかないと思っています。まずは自分がタイトル戦に出ないと、その役割を果たせないかなと思います。
――番勝負期間中に30歳の誕生日を迎えられました。30代の抱負を教えてください。
現状何も変わっていないですが、より勉強するようになったと思います。20代の時と違うところは当然あると思うので、考えながら仕上げていきたいと思います。
――永瀬王座は藤井竜王も脱帽する体力の持ち主です。
もともと将棋体力は高いと思うので、もうちょっと技術が伴えばば(藤井竜王に)焦ってもらえると思います(笑い)。藤井竜王には長らく将棋を教えて頂いていますが、語弊があるかもしれませんが名古屋の方はすごく体力あると思っています。こちらにとっての長所なのであれば、それを生かしていきたいなと思います。
――2022年度後半の目標を教えてください。
王将リーグが始まりましたし、順位戦A級は3回戦が終わりました。今回の豊島九段との番勝負で得るものが多く、何が足りないのかわかったので、今後に生かしていきたいと思っています。
――具体的に足りないと感じたのはどんなところでしょうか?
1局目は準備不足。本局はかなり神経を使わせられる展開になりました。実戦的にこちらが指しきるのが難しいと思ったので、そういう指し方を学んでいかないといけないのかなと思いました。
――ファンへ、喜びの声を聞かせてください。
防衛することができ、一番良い結果になってホッとしています。今回の番勝負で見えていないものが見えたり、収穫がかなりあったので、これを糧にこれからも頑張っていきたいと思っています。7月、8月が例年厳しいので、そこを気をつけてまた頑張りたいと思います。
(ABEMA/将棋チャンネルより)