華やかに見えるスポーツ界だが、引退後のセカンドキャリアは選手にとって大きな課題でもある。浦和レッズで16年間プレーし、その後引退したサッカー元日本代表の鈴木啓太氏が始めたのは、なんと“うんち”の研究だ。
【映像】「うんちの研究をしている」元Jリーガー・鈴木啓太氏の現在
実は鈴木氏、アスリートのうんちから腸内環境を研究し、食品やサプリメントなどの開発を行う『AuB(オーブ)株式会社』の代表取締役CEOを務めている。なぜアスリートのうんちなのだろうか。その理由について「アスリートの身体的な能力やパフォーマンスが、腸内細菌とどのように関係しているのかを明らかにしていきたい。健康状態が全て把握できるわけではないが、理想的な腸内環境を知って、それに近づけるためにアドバイスをすることが将来できるようになるだろう」と話した。
しかし、アスリートのセカンドキャリアといえば指導者や解説者などが思いつくものの、鈴木氏が選んだのは一般企業。そこにはサッカーへの強い思いがあった。
「サッカー界全体を考えたとき、指導者や選手を取り巻く環境を、どうしたら改善できるのだろうと思った。一度サッカー界から離れて、ビジネスや街づくりであったり、一般企業の組織を学んでサッカー界に戻りたいなと思っている。コーチ・監督といった“指導”ではなく、そういった人たちをサポートするところで働きたいという思いが強かった」
サッカー選手から会社社長への転身。大変な道のりだったのかと思いきや、すでに現役時代に事業を立ち上げていたという。「ファウンダー(創設者)として事業に参加する。そのような位置づけでスタートしていたが、この事業に関わっているボードメンバーに『(現役を)引退する』という話をしたら、『じゃあ代表できるじゃん』という話になりました」と明かした。
一方でセカンドキャリアがなかなか作れず「仕事が見つからない」と悩む元選手もいる。
そんなセカンドキャリアについて、鈴木氏は「“セカンドキャリア”という言葉自体が好きではない。僕はいつも“ネクストキャリア”とか、スポーツ選手という自分のステージが変わるだけの話で、1回目、2回目ということではなく、自分がやってきたことを活かしながら、学んできたことを違う職業になってどう活かしていくのか。良くも悪くもキャリアとしてひとつの区切りをつけるのではなく、それもひっくるめて“自分の人生キャリア”として捉えていきたい」と考えを述べた。
「セカンドキャリアではなく、ネクストキャリア。引退は区切りではない」という鈴木氏。ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演した元競泳選手の松田丈志氏も鈴木氏の考えに共感。松田氏は「引退後のキャリアが続けられないアスリートがまだまだ多くいる」と指摘し、次のように述べた。
「キャリアと言っても一つの人生。常に考えていかなければいけない問題。一般的な学生であれば就職をするときに『どういう業種が良いのかな』と考えるはず。アスリートが違うのは、幼少のころから好きな競技、得意な競技があって、それを25~30歳を超えるまで続けたあとで、どうするかを考えなければいけない」
「今できることは、次世代の若いアスリートに対して僕らのような先輩アスリートが“経験談”を伝え、ジュニアの世代、具体的には中・高・大学などそのとき選手の前に立っているコーチや指導者が、競技以外の学業や競技を引退した後のことを考えさせる提案をもっとしていかなければいけない。引退後のキャリア教育を早くからやっていくことが非常に重要だ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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