将棋の里見香奈女流五冠(30)は10月13日、棋士編入試験五番勝負第3局で試験官の狩山幹生四段(20)に敗れた。この結果、女性として初めて臨んだ棋士編入試験は不合格。終局後には「今の自分の実力」と話し、肩を落とした。なお、受験基準を満たした場合は再受験が認められているが、終局後の会見では「今のところはないです」と話した。
カド番で迎えた第3局。里見女流五冠は、後手番で自身の得意戦法「中飛車」を採用した。対する狩山四段は受け将棋の居飛車党。独特の指し回しは、本局でも随所に現れた。負ければ後がない里見女流五冠は、序盤から持ち時間をたっぷり投入。慎重に狩山将棋に対応した。
しかし、里見女流五冠は中盤の勝負どころでチャンスを見送ってしまう。ここからは狩山四段が一気にペースを握り突き放しにかかった。時間に追われる里見女流五冠は、最後まで必死に攻撃を繰り出すも、受け将棋を得意とする狩山四段は次々に手を封じていく。里見女流五冠は、リードを拡大させた狩山四段に追いつくことができず、最後は静かに投了を告げた。
この結果で、里見女流五冠の棋士編入試験五番勝負は3敗で終戦。今回の挑戦で史上初の「女性棋士」誕生とはならなかった。終局後、取材に応じた里見女流五冠は「もうちょっと前に踏み込んでいく手順があったと思うが、指し手が迷いながらになってしまった。今の自分の実力だと思う。また勉強して頑張りたいと思います」と話した。
夢の扉は閉じられたわけではない。日本将棋連盟の規定では「公式戦において最も良いところから見て10勝以上、なおかつ6割5分以上の成績を収めれば再受験が可能」と定められている。再受験のための勝敗は、今回の受験資格獲得局の次局、6月24日に行われた第94期ヒューリック杯棋聖戦一次予選で勝利した浦野真彦八段戦からカウントされるが、終局後に行われた記者会見では、再受験への思いを問われると「今のところはないです」と回答した。
(ABEMA/将棋チャンネルより)