“暴言”で政治家引退を表明 泉房穂・明石市長が語る「12年間積もりに積もったものが爆発した」経緯 初就任時から脅迫も貫いた“市民ファースト”
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 「私が暴言を吐いたのは事実であり、かつての一件もありますので、一発アウトだと認識しております」

 市議会でこう話したのは、兵庫県明石市の泉房穂市長。暴言の責任を取るとして、2023年春の任期満了を持って政治家を引退することを表明した。

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 事の発端は、泉市長が明石市にある企業の納税額をツイートしたり、議会の賛成を得ないまま事業を進めたことに対する問責決議案。「相反する考えを排除する姿勢がみられる」として猛省を促し、賛成多数で可決。暴言はこの問責決議に賛成した議員に吐かれたものだった。榎本和夫議長によると、「問責なんか出しやがって」「お前ら議員みんな(選挙で)落としてやる」という内容だったという。

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 過去にも暴言で辞職し、その後の出直し選挙では7割の得票率で再選した泉市長。「12年間の怒りが爆発した」という経緯について、16日の『ABEMA的ニュースショー』で語った。

 アンガーマネジメントについて学び、本を読んだりノートをつけたりしながら、腹が立ったらトイレに立つようにする、6秒数えるなどしていたという泉市長。「相当やってはいた」ものの、糸が切れたように言葉が出てしまったという。その背景にあるのが、“市民ファースト”の思いだ。

 「政治は市民のためにあるもの、税金は大事に使うものだと思っている。その観点から、一般論で言うと私利私欲や党利党略、メンツというものに強い憤りを持っているので、それが12年間積もりに積もって最後に爆発してしまった。納税額のツイートの件も問責決議も関係ない。市民のために仕事をしているのか、税金の無駄遣いをなくそうとしているのかということが論点だ。

 極端な話、改革をしなければ暴言を吐くことにはならない。職員に対して方針転換を求めると『嫌だ』ということで、理由を聞いても前例主義や横並び主義、お上意識。要は“新しいことはしたくない”“隣町と違うことは避けたい”“国に歯向かうことはやめたい”という文化の中で、『何を言ってるんだ。時代が変わってるんだから“全国初”であってもいいじゃないか』と。実際、職員のほとんどとは一緒にやれていると思うが、中には快く思っていない職員も当然いる。かなりの議員も一緒にできていて、明石市の本年度予算は全会一致で可決だ。政策そのものは全員賛成だが、それ以外の感情の部分がある。

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 コロナで大変だった去年の夏、市民全員に1人5000円相当の商品券を配って、市内の事業者を支援しようとした。議会との調整も終わっていたが、急遽通らないことになった。そこで、“目の前で溺れかけている市民を助けに行こうとしたのに、羽交い締めにされて行けなかったので振り払って助けにいったイメージ”が専決処分で、感情的対立で困っている市民や事業者を犠牲にすることへの相当な怒りがあった。市長としてはたとえ対立してでも市民や商店を助けるのが仕事。しかし、専決処分をしたことで議会は面子を失い、完全に決裂し、感情的対立が政策にまで飛び火するようになって収まりがつかなくなった」

 泉市長はTwitterで、「精神的にしんどかったのは、殺害予告メールの方でした。『明石市長を辞めないと殺す』という脅迫メールが百何十通もきています」と綴っているが、脅迫は初めて市長に就任した当時からあったという。

 「市長になって1年目で公共事業を削減した後に『殺すぞ』とポストに投函された。その脅迫はこの12年間ずっと続いているので、本音を言うとしんどかった」

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 明石市の商店街「魚の棚」で泉市長について聞いてみると、「もっとやってほしかった」「子育てするにはすごくいい環境」「もういっぺんせぇや」といった声があがる。疑問の声があがるのは、「言いたいことはわかるけど、政治家としてはふさわしくない言葉選び」「市の顔なので言葉を考えて言ってほしかった」という発言の部分だ。

 市民に支持されるのは政策の実行力にある。特に子育て支援策には力を入れ、「医療費(高校生・18歳まで)」「給食費(中学生)」「保育料(第2子以降全員)」「遊び場(親子とも)」「おむつ(満1歳まで)」の“5つの無料化”をすべて所得制限なしに実現した。

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 これらの政策により、明石市への移住やUターンが市長就任後に毎年増え、人口増加率が中核都市で日本一に。税収も黒字化した。一方で、無償化は財源を必要とするため、議会の承認や調整も必要だ。元鳥取県知事の片山善博氏は「議会が自分の言うことを聞いてくれない気持ちはわかるが、大事なことは議会に決めてもらわないといけない。民主主義というのは運用する上で面倒くさい面がある」と指摘する。

 また、元東京都知事で国際政治学者の舛添要一氏は「(泉市長は)国会議員もおやりになったからわかると思うが、霞が関や国会から地方に来ると“なんじゃこりゃ”と。しかも、そこには利権を貪っている人たちがいて、(予算を)カットされるのは嫌なわけだ。業界、そことつるんでいる役人、さらには地方議会の議員がいるので、その怒りを買った」との見方を示す。

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 これに泉市長は「100%の議員・職員が市民のためにやっているかというと思うところはあるが、基本的には12年近くなんとか調整しながらやってきた認識はある。多くの職員や議員の方には感謝している」と返した。

 市民からは「昔のように戻ってしまうのは耐えられない」という不安の声もあがるが、泉市長は「大丈夫だ」と力強く語った。

 「私はお詫びする立場で、本当に申し訳ない。ただ、ちゃんとやってきた。私が市長でなくても続けられるように条例を作ったし、今の政策は財源的に十分足りている。その証拠に、これだけ無料化しているが、就任時に70億円まで減っていた貯金を121億円にした。完全に筋肉体質に変えたので、普通にしていれば貯金がたまるくらいまではもってきた。今後は暴言を吐かない心ある市長がやってくれれば大丈夫だろう。市民とこの12年一緒にやってきて、次の市長を選ぶ時に今の路線の延長を選ぶと思う。まさにそれが選挙で、明石市民は私がいなくても大丈夫だと思っている」

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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