「なかなか止めないレフェリー」と「異常に打たれ強い選手」。この2つの危ない条件が揃ったストライカー同士の一戦で、3ラウンド終始殴られ続ける様子に実況席と視聴者から「早く止めろ」の大合唱。壮絶なKO劇を巡って「試合の止め時」に関する物議を醸す事態に発展した。
10月22日にマレーシアで開催されたONE Championship「ONE FIGHT NIGHT 3」。ジェレミー・ミアド(フィリピン)とダニエル・ウィリアムス(オーストラリア / タイ)のストライカー対決は、「何度殴られても折れない男」ことウィリアムスが本領を発揮した打たれ強すぎる特性に加え、戦況をじっくり見守るスタイルの名物レフェリーの存在も相まって壮絶なクライマックスを迎えた。
ミアドの体重超過で急遽キャッチウェイトとなった試合。ウィリアムスは以前、ロッタン・ジットムアンノンにボコボコに殴られながらも耐え抜き「絶対に折れない男」として一躍注目された激闘派のファイター。そして、この日もそのタフさが再び注目を浴びることとなった。
打たれたら打ち返す一進一退の攻防が繰り広げられたこの試合。1ラウンド後半、至近距離でミアドが右を当てダウンを奪うと、さらに追い打ちのヒザ、パウンド〜パンチの連打でウィリアムスを追い込んでいく。フラフラになりながら鼻から鮮血のウィリアムスだったが、ここでも打たれ強さを発揮して真っ向勝負を挑んでいく。
2ラウンド、サークリングしながらローを飛ばして距離設定を変えたウィリアムスに対し、ゆっくりと距離を縮めたミアドが左を振り抜いて2度目のダウンを奪う。
この日のABEMAゲスト解説・青木真也も序盤こそ「(選手として)打たれ強い」とウィリアムスを認めていたものの、ダメージの蓄積を見て「もうワンダウンで止めた方がいいですね」と漏らす危険水域に突入。タフとはいえ、さらにミアドのパンチを真正面で何発も貰う状況に青木は「僕がコーナー(セコンド)だったらタオルを握ります」とストップを促すようなアラートを発する。
しかしこの日のレフェリーは「なかなか試合を止めない」でお馴染みのハーブ・ディーン。彼のレフェリングをよく知る視聴者からは「ディーンは止めないだろうな」「リスクが高い試合だよ」と選手を気遣う声も上がる。
3ラウンド、ここまで「頑丈だ」「タフだ」と言われてきたウィリアムスだが、やはりダメージの蓄積は限界に…。カウンターの右ストレートから硬い右を追い打ちされゴロリと崩れ落ちた。そんなウィリアムスの姿に「もういいでしょう…」と青木が思わず漏らした。
さすがのディーンも割って入って試合をストップ。これには視聴者からも「さすがに止めた」「やっと止めてくれた」「ナイスレフェリー」など、安堵の声が多数聞かれた。
ディーンのレフェリングに対しては「(あの場面で)まだストップを迷っていた」「(レフェリーが止める前に)ゴングが先に鳴っていた」とツッコミも聞かれたが、青木は「これで止めて良かったと思います。グッドストップ!」とレフェリーのタイミングは適切と支持していた。