ソウル転倒事故で女性に被害が出たのは?“群衆雪崩”の危険性と回避方法を専門家が解説
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 韓国ソウルで起きた転倒事故で10代と20代の日本人女性2人が犠牲になっていたことがわかった。また、韓国政府は死亡した154人のうち約3分の2が女性だったことを明らかにした。

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 事故が起きた坂道は幅約3.2メートル、長さ約40メートル。事故現場の北側には、世界グルメ通りと呼ばれるクラブやバー、飲食店が密集する歩行者が多いメインストリートがあり、南側には梨泰院通りという片側2車線の大通りがある。

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 梨泰院通りには駅があり、現場の坂道は駅とメインストリートを繋ぐ路地。ハロウィーンで集まった人数は、地元警察によると、約10万人で亡くなった方は154人、そのうち日本人が2人含まれ、けがをした人は132人だった。

 事故の原因は「群衆雪崩」という現象だと指摘されていて、これは強い力で押されて起こる現象で人の隙間がない密集した状態で起きる。後ろから押した人数分の力が先頭の人に加わり、押された結果、複数の方向から力が加わり、浮いてしまう人が発生する。

 さまざまな方向から押されて浮いてしまった人が落ちて倒れ、1人が倒れるとつっかい棒を失ったような状態になり、倒れて空いた隙間に人々が雪崩のように倒れこむ。群衆雪崩が発生する人の密度は1平方メートルに10人以上だという。

 多くの死傷者が出た今回の事故について、群衆雪崩のメカニズムを研究している東京大学先端科学技術センターの西成活裕教授は、「過去100年、こういう事故が繰り返し起こっている」と話し、次のように述べた。

「人が集まるところは、いろんな行事があって、その中で興奮した方やアルコールの勢いがある。ヨーロッパだと、例えばサッカーの試合など、世界だと宗教行事でいろんな方が集まる。そういったところで最大、例えば2000人亡くなってるという事故も起きている。だからそういう意味では、こういったところが危ないてっていうのがわかっていたにも関わらず起きてしまったのは残念」

――今回のように群衆雪崩が発生する人の密度は、1平方メートルに10人以上ということだが、満員電車でいうとどれくらいなのか。

「満員電車でも6〜8人くらいでぎゅうぎゅうの状態。今回の件は異常事態で、そのエリアで犠牲になった方を割り算すると、10人どころではなくて15人くらいの場所もあったのではないかとも言われている」

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――先程、「繰り返しこういった事件が起きてる」と話していたが、この群衆雪崩が起きやすい場所や条件はどういうものなのか。

「人が集まってしまう場所というのは、幅がどんどん狭くなる。これをボトルネックと言うが、こうした狭くなる場所で過去にもたくさんの事故が起きていた。あとは、合流地点。合流してる場所だと、各道路でそれなりに流れていても足し算になっていくので、その道路の容量を超えてしまう。一方通行で同じ方向で歩いていれば危険性はないのだが、その中で1〜2人でも反対方向を歩く人がいると流れが乱れてしまう。人口密度は10人と基準では言われているが、6〜7人くらいでも群衆が起きる場合もある。そういった意味でも、密度だけでなく流れのコントロールが大事」

――群衆雪崩のメカニズムで人が押されて浮くとあったが、これは立っている状態でどのくらいの力がかかるのか。

「過去に群衆事故で亡くなった時のデータによると、最大で400キロが体にかかる。それは近くにあった手すりが曲がる程で、普通の人では耐えられないので、失神だけでなく深刻な状態になる。犠牲者に女性が多かったのもそれに耐える力がなかったのもあると思われる」

――では、今後、私たちはどのように気をつけたらいいのか。

「この状況になってしまうとできることはない。混んでいる場所を見渡して、人が動けないくらい押し合っている状態であれば入らない、近づかないなどリスクを自らある程度、判断して避けることが大事。もし、巻き込まれてしまったら、わけ道・逃げ道を確保しながら行動していくことで命を守ることに繋がる 」

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――群衆雪崩が起こる前はどういうことが起きているのか。

「最初は混んでるなという感じで歩けるが、どんどん隙間の方に人が入っていって隙間が埋まっていく。今度は人と人がコンタクトしてしまい、解けない状態がずっと続く。これが一番危なくて、地震のように人々が前後左右に振られる、中で身動き取れない状態は群衆事故の一歩手前で、群衆乱流とも言われている」

――防ぎようがないと思うが、災害などで避難する時に人の波にのまれてしまうことがあるかもしれない。この群衆雪崩が起きそうになった時どうやって身を守ればいいのか。

「群衆を止めるのはほとんど無理なので、みんなで流れを整えていく、なるべく同じ方向の流れにしていく、後ろ・入り口辺りで混んでると思ったら入ることをやめるなど、協力や情報のやりとりが大事になる」

(『ABEMAヒルズ』より)

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