これが新生・有井渚海だ。RISE軽量級のホープが13カ月ぶりの試合で成長をアピールした。
ABEMAの恋愛リアリティショーに出演し、イケメン格闘家としても話題になった有井。実力も確かなものがあり、ここまで12戦10勝1敗1分という戦績を残している。
昨年7月に喫した、ただ1つの黒星は、ライバル的存在である寺山遼冴との試合でのもの。有井はさらなる成長を目指し、大阪から東京に活動拠点を移した。新たな所属先のARROWSジムは、木村“フィリップ”ミノルをはじめ数々の強豪を育てた矢口トレーナー率いるジムだ。
10月30日のRISE後楽園ホール大会。彪司との対戦で、有井は鮮やかな闘いぶりを見せる。攻撃となるのは左のジャブ。手数も的確性も抜群で、有井は序盤からペースを握った。そこからワンツー、左フックとコンビネーションもヒット。1ラウンド、早くもダウンを奪ってみせた。
その後もジャブ主体で攻め続けた有井。KOは逃したものの、充分なインパクトを持つ試合だった。これまでも実力、センスのある闘いぶりを見せてきた有井だが、そこに“芯”が入ったイメージ。試合ぶりに“どうやって勝つか”という方法論が加わり、そのことで逞しさ、力強さを感じさせるようにもなった。
もちろん、欲を言えばKOしたかったところ。本人も試合後に「倒すのが目標だったけど、まだ実力不足です」と語っている。その一方で、この勝利はキャリアの中でもとりわけ感慨深いものになった。
「試合ができない期間もバカみたいに練習してきました。格闘技しかやってこなかった。(この勝利は)その結果だと思います。だけどこんなもんじゃない。来年はRISEのチャンピオンベルト、必ず巻きます」
そしてこんな言葉でマイクアピールを締めた。
「絶対スーパースターになるんで。注目してください」
有井がこの日、試合をしたRISEのバンタム級は、鈴木真彦が王座に君臨する激戦区。10.30後楽園では寺山も勝利している。RISEの伊藤隆代表は、有井と寺山をタイトルを争うライバルに育てていきたいとも。有井の試合からは、それだけの可能性が感じられた。
文/橋本宗洋