“長巻きトイレットペーパー訴訟”、元大王製紙会長・井川意高氏「引っかかると思っていた」 企業努力と“進化”の歴史
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 トイレットペーパーの「長巻き」をめぐって、訴訟が繰り広げられている。「クリネックス」「スコッティ」などを展開する日本製紙クレシアが、大王製紙の製品が特許侵害に当たるとして、製造・販売の差し止めや、3300万円の損害賠償などを求める訴えを起こした。

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 日本製紙クレシアは6年前から、1ロールの長さが従来製品より3倍長い商品を販売している。同社は1996年から「長巻き」トイレットペーパーを取り扱っていて、50件以上の関連特許を持つとしている。一方の大王製紙も今年4月に「3.2倍巻」を発売したが、日本製紙クレシアは、その製法が特許侵害にあたると訴えた。なお大王製紙は「裁判の中で正当性を主張していく」とコメントしている。

 ジャンボロール問屋・株式会社十光の十河(そがわ)利光氏は、トイレットペーパーは備え付けホルダーのサイズが決まっているため、他の商品との差別化が難しいと指摘する。これまでのヒット商品として、色つき、においつき、何枚重ね、紙を柔らかくする、シャワートイレ用などを挙げ、メーカーがしのぎを削ってきた歴史を振り返る。

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「1979年、大王製紙は『香りつきのエリエール』をひっさげて、トイレットペーパー業界に参入して大当たり。各社が追随したが、エリエールの香りになじんだユーザーは見向きもしなかった。その後、日清紡が厚手で吸水力の高い『シャワートイレ用』を開発して売れたが、2017年に大王製紙が日清紡の紙事業を買収したため、いまこの商品は『エリエール製』になっている」(十河氏)

 そんな激しい争いのなか、市場に投入されたのが「長巻き」だ。十河氏は、燃料費カットに加えて、省スペース化による物流コスト削減、CO2(二酸化炭素)削減でSDGsにも貢献できる商品とあって、「過去最大のイノベーション」だと指摘する。

 11月6日の『ABEMA的ニュースショー』に出演した元大王製紙会長・井川意高(もとたか)氏は、シングル(1枚)とダブル(2枚重ね)について、「関東圏はダブルが約6割だが、関西圏では2割もいかない」と、豆知識を明かした。同じ長さにした時に、ダブルは薄いため、早く消費されてしまう。また重ねると厚くなることを考慮して、ダブルでは1枚の紙を少し薄めに製造しているといい、関西の消費者はそれをよく理解しているのだそうだ。ただ、「昔、シングルは60メートルだったのが、今は55メートルで、メーカーもコストダウンで短くしている。ダブルは60メートル」と補足。

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 では、今回注目されている「長巻き」についてはどうか。井川氏は「(特許権に)引っかかるだろうと思っていた」と振り返る。訴える前から書面でのやりとりを続けていても、折り合いが付かなかったのだろうと推測。「特許は2〜3倍の間で柔らかさを維持するための機械の圧力がどうだとか、そういう形で特許範囲をとる。大王製紙は向こうが3倍までで特許を取っているから、3.2倍なら特許の範囲を超えている(からセーフ)と思ってやったのだろうと思う。しかし相手は、3倍は3.2倍も含むとか、お互いの解釈の問題を裁判所に白黒をつけてもらいましょうとなったと思う」と分析した。

「(両社の関係性を聞かれて)まあ……仲良くない。1位がエリエール、2位が日本製紙クレシアということで、家庭紙業界ではお互いに丁々発止やっている」(井川氏)

(『ABEMA的ニュースショー』より)
 

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