イーロン・マスク氏「Twitterに言論の自由を」 認証バッジ有料化で脱広告収入の狙いか?「全員、無料で認証した方がいい」指摘も
Twitter社半数解雇に 認証マーク有料化の狙いは?
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 6兆4000億円という巨額のマネーを投じた、イーロン・マスク氏によるTwitter社の買収劇から10日あまり。

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 取締役全員の解任に続き、先週末に突如行われた従業員の半数解雇を巡り、波紋が広がっている。CNNによると、11月4日の朝にかけ、Twitter社は従業員全員に対し自身が解雇の対象であるか否かのメールを送信。

 解雇対象となった従業員は、会社のパソコンにログインできなかったり、出社することができなくなったと、Twitterに投稿している。

 従業員約7500人のうち、具体的な人数および対象は明らかになっていないが、投資家向けの会議にマスク氏が出席した際に、「対数は半数か」と問われると無言でうなずき、事実上認めた。

 そもそもなぜ、マスク氏は“取締役の全員解任”“従業員の大量解雇”に踏み切ったのか。ITジャーナリストの三上洋さんは、こう指摘する。

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「(マスク氏は)自分で借りているお金および、レバレッジド・バイアウト(LBO)と呼ばれるTwitter自体の価値を証券化してお金を調達するという、こういったやり方で6兆4000億円を工面して買収している。アメリカでは、金利が軒並みずっと上がってきている状況なので、そのために金利負担が大きい。Twitter自体も赤字が続いているという状況で、収益をなんとか手にしたいということで急いでクビを切り、自分が独裁化をして変えていこうということだと思う」

 一方、解雇された従業員の中には、誹謗中傷や差別表現など”ヘイト投稿”を監視する部門の従業員も多数含まれており、問題投稿が放置されることへの懸念から、広告の出稿を取りやめる企業も出てきている。

 アメリカ自動車大手ゼネラル・モーターズや、製薬会社ファイザー、食品メーカーのゼネラル・ミルズといった大企業がTwitterでの広告を停止すると発表している。

「Twitterは売上の9割が広告で成り立っていて、広告依存のSNS企業。ところがイーロン・マスク氏が考えているのが言論の自由原理主義ともいえるもの。しかしながら、そうするとTwitterでは誹謗中傷、人種差別もしくはテロを助長するような投稿というものが、出てしまう。その場所には大企業が広告を出しにくいという状況だ」(三上さん)

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 「Twitterには言論の自由があるべき」と広告収入に依存するビジネスモデルからサブスクといった、利用者から料金を取るスタイルへ舵をきろうとしていたマスク氏。そんなマスク氏が今回打ち出したのが、「認証バッジ」の有料化。

「この認証バッジは、今まで著名人や有名人というものの担保。そして、本人確認が済んでいるという意味で信頼できるものだった。信頼度の証だったものが、お金で買えるものになってしまう。本来であれば、なりすましを防止する意味もあった認証バッジが、有料化によって逆になりすましを誘発してしまう可能性がある」(三上さん)

 Twitterを自由な言論の場にしていくのか。それとも、広告主を繋ぎとめるため、考えを改めるのか。マスク氏の動向に注目が集まっている。

「金利負担、そして赤字がずっと続いているTwitterにとって、マスク氏はすぐにでも何らかの収入を得なくてはいけない。今後、朝令暮改のような変動が続くと思う。今後もまだ混乱が続くと思う。私たちはこのサービスを今後使っていくかどうかという私たち自身にも問われている状況だ」(三上さん)

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 このニュースを受けて『ABEMAヒルズ』に出演したコメンテーターの神庭亮介氏は、認証バッジの有料化について持論を明かした。

「認証バッジは本来、本人であると特定することが目的だったはず。なのに実際には、政治家、有名人、インフルエンサーの人たちに対するTwitterのお墨付き、ステータスシンボルのように機能していた。ある種の特権的な仕組みを『民主化』して、誰でも認証できるようにする方向性自体は悪くないと思う。ただ、8ドルの対価を取るとなると、中途半端に特権性が残ってしまう。いっそのこと全員無料で本人認証した方が、イーロン・マスクが嫌悪する、なりすましやボットの排除にもつながるはずだ。

 8ドル取るにせよ、無料でやるにせよ、多数のユーザーの認証にはしっかりした審査体制が必要。大規模なリストラを進めているなかで、厳格な認証作業ができるのかは疑問だ。私も含めTwitterのヘビーユーザーには、何らかの形でTwitterにお金を落としたいと思っている人も多い。マネタイズの手段と、認証マークの話は切り離して考えた方がいいのでは」

 また、神庭氏はイーロン・マスク氏が提唱する「Twitterに言論の自由を」についても言及した。

「Twitterが自由すぎることが問題と考えるのか、不自由になってきたことが問題と考えるか、どちらの立場に立つかによって見え方は180度変わる。イーロン・マスクは、リバタリアン(自由至上主義者)。極力自由であるべきという考え方で、極端ではあるが、一理あるとも思う。

 Twitterはトランプ前大統領のアカウントを永久凍結した。だが、『見えなくなる』ことと『いなくなる』ことは違う。結果、トランプさんは独自のプラットフォームを立ち上げて、そのなかで仲間を囲って陰謀論などが横行するようになった。Twitterから追い出して見えなくなったとしても、かえって仲間内で主張を先鋭化させてしまう恐れもある。言論の自由市場のなかで意見を戦わせ、偽情報や陰謀論に対してツッコミを入れられるようにしておくことは重要だ。なので、言論の自由を重視するマスクの主張も半分は理解できる」

 イーロン・マスク氏の主張に一部理解を示した神庭氏。一方で、課題についても指摘した。

「『言論の自由』が曲解されて、Twitterに差別や誹謗中傷などがあふれてしまった場合、企業はそういう場所に積極的に広告を出したいとは思わないだろう。マスク率いるTwitterに言論の自由、表現の自由があるように、企業側にも広告を出す場所を選ぶ『営業の自由』がある。結果として、広告の取り下げがさらに広がってもおかしくはない。そうなった時に、どうやってマネタイズしていくか。マスクは難しい舵取りを迫られることになる」

(『ABEMAヒルズ』より)

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Twitter社"半数解雇"マスク氏の狙いは
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