将棋の第35期竜王戦七番勝負第4局が11月8・9日の両日、京都府福知山市の「福知山城 天守閣」で指され、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が挑戦者の広瀬章人八段(35)を破り、通算成績3勝1敗と初防衛に王手をかけた。シリーズはいよいよ終盤戦へ。注目の第5局は11月25・26日の両日、福岡県福津市の「宮地嶽神社貴賓室」で予定されている。
藤井竜王が圧巻の指し回しで初防衛に王手をかけた。藤井竜王の先手番で始まった本局は、「角換わり腰掛け銀」の戦型に。先手の選択で前例を離れ、早々に中盤の難所に突入した。これまでの3局では広瀬八段の深い研究が注目を集めていたが、本局では藤井竜王が随所で工夫を披露。先手ペースでの進行となった。
2日目からは後手の広瀬八段がゆっくりした展開を許さず、激戦に。激しく攻め立て、藤井竜王が対応する難解な中盤戦を辿った。その正確な指し回しでリードを拡大し、一手ごとにぐいぐいと勝利を引き寄せていった。苦しい時間が続いた広瀬八段も必死に食らいつき、何とか逆転への糸口を探り幾度となく手をひねり出すも、実らず。藤井竜王が最後まで冷静に押し切り、完勝で3連勝を飾った。
終局後、藤井竜王は「こちらから仕掛けていって馬を作る形になったが、それを働かせるのが難しく、方針が常に難しい将棋なのかなと思っていました」とコメント。2日目の昼食休憩明け、桂頭に歩を打つ一手から「歩成からの攻めが多いので、少し指せているのかなと思いました」と振り返った。
一方、手痛い3連敗を喫した広瀬八段は「実戦例の比較的少ない形に誘導した。流行形からは外れていると思うので、以前かなり研究した形だったたので、やってみようと思った。ちゃんと指せればいい勝負が続くと思っていたが、封じ手のあたりですでに指しにくくしてしまったかもしれないと思っていた。2日目は苦しい時間が続いていた」と話した。
この結果でシリーズ成績は藤井竜王3勝、広瀬八段の1勝に。終盤戦となる第5局で、絶対王者が4連勝を飾り初防衛を決めるか、それともカド番の広瀬八段が巻き返すか。藤井竜王は「第5局まで2週ほどあるので、その間にしっかり準備して状態を整えて臨みたいと思います」、広瀬八段は「後がない状況。何とかシリーズが続くように第5局頑張りたいと思います」と意気込みを語った。
注目の次局は11月25・26日の両日、福岡県福津市の「宮地嶽神社貴賓室」で予定されている。
(ABEMA/将棋チャンネルより)