「成績が悪いと親が吐いて倒れる状況で追い込まれて」 4度のうつ病を経験… 精神科医が訴える病気との向き合い方
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 東大医学部から医師に―。人が羨むような経歴を持ちながら4度のうつ病を経験した精神科医に話を聞いた。

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「今振り返ると、中1の秋くらいから本格的なうつが強く出ていた」

 中学時代から社会人時代まで、計4度のうつ病を経験した精神科医の岡本浩之医師。

「小学生のころから自分に自信がないというか。3つ上の兄がいて、昔から私よりも社交的で明るく、運動もできた。友達や兄の同級生から比べられて馬鹿にされたり、からかわれたこともあり、『自分はダメだな』と追い込みやすい、責めやすい性格ではあった」

 そんな自分を変えようと没頭したのがマラソンだった。しかし、いざレースに挑むとなったとき、緊張と恐怖感に襲われ、途中で倒れてしまったという。

「精神科では『スポーツ選手はそういうのみんな頑張って乗り越えるんだから、乗り越えないでどうするんだ』と強い口調で怒られた」

 体のだるさや不眠、食欲不振などの体調不良を抱え、少しずつ競技とは離れていくことに。そこで気持ちは少し楽になったそうだが、熱心に勉強に取り組んだ高校時代も精神的に不安定な状況は続いた。

「良い成績が取れてもそれが自信にならず、『今回は取れたけど次失敗するんじゃないか』とか。ちょっとでも(成績が)悪いと親がショックを受けて吐いて倒れたり、そういう状況があって、勉強の方でもだんだん追い込まれて辛くなってきた」

 自分の体のことを知りたい。そんな思いで医学部を目指す中、またしても不眠などの不調が現れたという。毎日続く苦しみの中、ある“決断”をして受験を迎える。

「浪人して続けるって絶対無理だなとなんとなく感じていたので、『もし落ちたら自殺しよう、死のう』と思っていた。遺書も書いて、大学の合格発表を見に行った帰りに、どの場所で実行すれば成功するとかも全部決めていた。“ゴール”があるから、苦しいけどそこまではやろうと何とか持っていった」

 結果は無事合格。ただ、東大医学部から医師というキャリアを歩む中でも、強い「うつ」の症状が出てしまう。特に4回目のうつでは、高校時代のような重い症状が出たため、服薬などしっかりとした治療を取り組むことに。

「成績が悪いと親が吐いて倒れる状況で追い込まれて」 4度のうつ病を経験… 精神科医が訴える病気との向き合い方
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 うつ病を経験した精神科医として、同じ目線で患者と向き合える一方、過去の自分と重ね合わせすぎないよう、客観的に診ることを意識しているという岡本医師。うつ病は、誰もがなり得る病気で、その前兆を見逃さないでほしいと訴える。

「一番典型的なうつの経過として、『気分が落ち込む』『やる気が出ない』などが挙げられるが、その前に何かしら身体的不調が出ていることが割とある。なんとなくだるいとか、私の場合だと胃の不調があった。お腹が下ったり、ほかにも睡眠が乱れたりというのもサインとしてある」

 後回しにできること、いま頑張らなくてもいいことはないかを探すことが、少しでもストレスを減らすポイントだと話す岡本医師。まさに今悩みを抱える人に対して、次のようなメッセージを送った。

「『私が現在、発症から30年ほど経って落ち着いているから、皆さんも落ち着きますよ』というのはちょっと安易すぎると思う。いろいろな病気があって、いろいろな苦しみがある。私の経験がすべてではないが、実際に死にたくなるくらい調子を崩した方を診ていても、元気になるとまでは言わないものの、どうにか病気と付き合いながら生活できるまではもっていけると考えている。時間をかけながら付き合えるようになるものと捉えていただきたい」

(『ABEMAヒルズ』より)

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