8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」が、11月19日から放送開始となる。前回大会に続き、深浦康市九段(50)は愛弟子・佐々木大地七段(27)とタッグを組み出場する。“地球代表”の異名を持ち、いつ何時も熱い闘志をみなぎらせるファイティングスタイルが魅力の深浦九段。「師弟で戦えることは奇跡」と語るチーム深浦が、一戦、一瞬を全力で勝ちに行く。
柔らかな表情にユーモアたっぷりの語り口調が人気で、解説にも引っ張りだこの深浦九段。しかし盤に向かえば表情は一変する。顔を紅潮させ、時には自分の頬を叩いて極限状態の戦いに没頭する姿は、見ている側も息が詰まるほど。そんな“闘志の人”深浦九段にとって、師弟戦とはどのようなものなのだろうか。「より絆が深い弟子と一緒に戦えるので、今まで培ってきた部分も大きいです。苦しい将棋を粘っている時も佐々木の顔が浮かんで、師弟でひとつのチームなので簡単に負ける訳にはいかないな、と。控室に戻るとホッとするところもあるんですよね」。
深浦九段と佐々木七段の出会いは佐々木少年が11歳の頃。「佐々木は小学校5年生まで心臓病で命が危ないという時もありました。佐々木は将棋によって人生のやりがいを見つけて“奇跡”を起したんですよね。だから、師弟で戦えることは奇跡。それを去年感じましたので、前回を超えるような結果を残したい」。口調は柔らかくとも、その内に秘めるものは触れればヤケドするほどの熱を帯びていた。
今では健康を取り戻し、順調に棋士としてのキャリアを積み重ねる佐々木七段。スラっとした長身と一見クールな若者風だが、内なる闘志は師匠譲り。前回大会では逆転負けを喫した深浦九段に笑顔混じりに「何やってんすか、師匠!」とゲキを飛ばす場面も。深浦九段も苦笑いで返すというシーンに、ファンからは「ガチおもろい」「良いツッコミだ」といった反応が相次いだ。もちろん深浦九段にとっても印象深いシーンだったと言い、「そういうのは激励になるので、これからもそういった関係でありたいなと思いますね」と頼もしい弟子の成長を喜んだ。
いよいよ始まる師弟トーナメント。気になる対戦相手は「第1回ABEMA師弟トーナメント」のスピンオフ企画でも対戦し、今回初参戦するチーム杉本・杉本昌隆八段(54)&藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)だ。スピンオフ企画では、3戦全勝でチーム杉本に完全勝利。深浦九段が絶対王者から逆転勝利を飾った一局は、佐々木七段を仰天させた。深浦九段も「そういう、運命とは言わないですけど(藤井竜王とは)何か縁があるのかなという予感はしている」と笑顔。「藤井さんとの再戦、もちろん杉本さんもなんですけど楽しみにしています」と胸を躍らせていた。
再び始まる師弟での旅路。「うちのチームは師弟が車の両輪だと思っているので、片方が調子悪くて片方が勝っていくという感じではないんです。お互い苦しいんだけど、簡単に折れないような形で、内容もともに2人で盛り上げていくようなチームだと思っています」。目指すゴールはもちろん優勝。どんなデコボコ道も、2人がそろえば怖いものはない。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)