10月、子育て世代の女性の政界進出を後押しするためのプロジェクトが発足した。自身も幼い子どもを抱えながら選挙を戦ったという発起人に話を聞いた。
「子供参院選の期間中に4歳になった息子がいる。選挙事務所に連れて行ったり、街頭(演説)に連れて行ったりせざるを得ない日もあった」
こう話すのは、2022年7月に行われた参議院選挙に出馬し、現在はフリーランスとして活動する田村真菜さん。4歳の息子を抱えながら戦った前回の参院選を次のように振り返る。
「午後6時半には毎回子どもを迎えに行っていた。子どもを連れて歩かなければならない日は、子どものペースにも合わせないといけないので、“あちこちに30分刻みで行って”みたいなことはなかなかできなかった」
18日間という限られた選挙期間の中、時には子どもを優先し、選挙運動を休んだ日もあったと田村さんは話す。
「子どもを優先して活動しようと思って、一緒に高尾山に登りながら通りすがりの人に挨拶したり、声をかけてもらったり。そういった形でやる日もあった」
選挙には落選した田村さんだが、こうした自身の経験を活かそうと、“子育てをしながら地方議員を目指す母親”を支援する「こそだて選挙ハック!プロジェクト」を今年10月に発足した。
田村さんと共同代表を務める濱田真里さんは、プロジェクトの内容について「勉強会の開催やボランティア開催の手伝い、選挙に関するしおりの作成などのさまざまな手伝いをすることで、子育て世代が当選しやすい・立候補しやすい社会を作りたいと思って活動している」と説明する。
こうした中、彼女たちにとって“追い風”とも言える知らせがあった。これまで悩みの種の一つとされていた、選挙運動への子どもの同行だ。公職選挙法では「年齢満十八年未満の者は選挙運動をすることができない」とされていて、子どもを連れて行くと法律違反と批判を受けることもあった。
しかし、今年の参院選後、東京都の選挙管理委員会が「選挙運動に候補者やスタッフとともに子どもが同行すること自体は禁止ではない」という見解を発表。その後、国会で寺田稔総務大臣は「全国一律の見解である」と答弁した。
「私が選挙に出た時は『保育園の送迎で一緒に歩いている時ですらダメ』みたいなことを選管に言われた。選挙期間中の日常生活において、『子どもを一緒に連れている分には問題ない』と言われるだけでも、以前よりは良くなったかな」
現在は2023年の統一地方選に出馬する母親やボランティアを募集しているというこのプロジェクト。田村さんは、今回認められた“子連れ選挙”に関する助言などにより、「支援を通じて、子育て世代の政界進出を後押ししていきたい」と意気込んでいる。
「子育てをしたからこそ、地域の課題や足りない部分に気づくことは本当にたくさんある。“子どもに優しい選挙”は工夫してできる。私もアイデアを出すので、一緒にがんばって行けたらいいなと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側