若新雄純氏「政治家以外の誰が努力できるのか」 父が車に置き去りで2歳児死亡 少子化担当大臣「園の責任は重い」指摘も…現場の声は
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 大阪・岸和田市で12日、車に置き去りになった2歳の女の子が亡くなった。警察によると、父親が3人の娘を保育所に預けるため車に乗せて自宅を出発。長女と三女を保育所に預けた後、2歳の次女を別の保育所に預けるはずが、乗せたまま帰宅。約9時間後、父親が次女を迎えに保育所に行くと、「来ていない」と言われたため、車を確認したところチャイルドシートでぐったりとした次女を発見。死因は熱中症だった。父親は「保育所に預けたと思い込んでいた」という。

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 しかし、小倉少子化担当大臣が問題視したのは保育所の対応だ。会見で「保育園のほうで当然やるべき所在確認というか、登園管理をしてくだされば救えた命だと思っている。園の責任は重いと思っている」と発言した。さらに自身のTwitterでもさらに付け加える形で「保護者への確認を義務化すべきとの意見もありますが、園側の負担も考えなければならず、慎重な検討が必要。こどもの命と安全には保護者の高い意識が必要であり、園側だけでこどもを守ることができるものではない」と対策の難しさを滲ませた。

 岸和田市も連絡を怠ったことを認め、子育て施設課の溝端多賀子課長は14日、「連絡なくお休みされているお子さんについては、保護者さまからお届けいただいている緊急時の連絡先に電話させていただくことになっていた。結果として、できていなかった」と説明した。

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 保育所の責任について、Twitterでは「給料が安くてブラックなのに保育所に責任を負わせすぎ」「保護者と園がうまく連携する方法はないのか」との声がみられたが、今回は保護者の車で起こったこと。保育所や幼稚園はどこまで責任を負えばいいのか、子どもの置き去りをなくすためには何が必要なのか。16日の『ABEMA Prime』は議論した。

 今回の事故について、社会福祉法人「熱田福祉会」理事長の平松知子氏は「もちろん保育園側にも責任があると思うが、園児の所在確認や登園確認ができないくらい、その園で何があったのかということに思いをはせていただきたい。少子化大臣も『関係省庁と連携して、どうやったら子どもの命が守られるのか。みんなで検討していきたい』とちゃんと言ってくれている。なぜ保育所が子どもの命を守れないのか、社会の目線で考えていただきたい」と話す。

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 また、3人の子どもが同じ保育園に通っていなかったことに疑問を呈する。「一番下の子だけがダメだったのなら乳児だからだと思うが、真ん中の子だけというのは保育園の事情があったのだろう。本来きょうだいは一緒の保育園に行くのが当たり前だ。2カ所への送り迎えはさぞかし大変だろうなと、ご家族の心中を察する。そこのケアがあと一歩足りなかったのかなと思う」。

 一方で、保育園が電話をしても出られなかったり、怒り出したりする保護者がいるという。保育園などから連絡する必要性について、平松氏は「登園していない子たちの管理をアプリに入れたり、いろいろな登園管理システムをやっていても、最後にヒューマンエラーを防ぐところでは目視や人の目が大事だ」と指摘。

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 続けて、「2歳児を見るのに国基準で6人に1人の保育士が必要だ。例えば、1クラス12人を保育士2人で見ている時に、ある子どもをトイレに1人の先生が連れて行ったら、11人を1人で見ないといけない。そんな中で、“あの子がまだ来ていないから、保護者に電話しないと。繋がらなかったから次また電話しないと”というゆとりは全くない。4歳児以上なんて『30人を1人で見ろ』という基準。戦後から変わっていないところに問題が根深くある。ゆとりのある保育で一人ひとりを大事にする保育をやりたいが、実際には難しいというのは全国の保育士が感じていることだと思う」と述べた。

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 リディラバ代表の安部敏樹氏は「今回の事故で、おそらく関係者皆さんが自分のことを責めていると思う。こういう時に“あいつが悪い”と責めすぎないのは、コミュニケーションとしてはすごく大事だ。難しいのは、家庭と教育機関ないしは保育機関を結ぼうとする時、間に通学や連れて行くという行為がある。この部分の責任を学校に持たせるかというと、文科省も学校側も『ない』というスタンスを固辞している。そうすると、通学の途中で事故が起きた時に親の責任になってしまう。カリタスの事件(※)もあったことを考えると、登園や通学をきちんとサポートする予算や仕組みも同時に必要だと思う」との考えを示す。
※川崎市多摩区でスクールバスを待っていたカリタス小学校の生徒ら19人が刺され、女の子と39歳の男性が死亡した事件。容疑者も犯行後に自殺

 プロデューサーで慶応義塾大学特任准教授の若新雄純氏は「小倉大臣の言い方だと、預かっているスタッフに責任があるように聞こえてしまうが、それは浅かったと思う。明らかに保育士の数が少ないこと、給料が低すぎることはずっとわかっていて、園が努力したところで売上があがるわけではないし、どうにもならないわけだ。国・政府がどのくらい予算を割いて1つの保育園に保育士を置けるようにするのか、給料をいくらにするのかは政治にしかできないことで、政治家以外の誰が努力できるのか。人手を厚くできていないんだったら、『政府や政策に問題があるから、直ちにそれを改善する』という回答をしないとおかしい」と指摘した。

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 相次ぐ送迎バスの置き去りを受けて、車内を検知するセンサーなどに注目が集まっているが、テクノロジーを活用して乗り越えられることはあるのか。平松氏は「そういう技術を使うのはやぶさかではないが、最後のヒューマンエラーを防ぐのは自分たちの目だ。市や自治体によっては、保育士の配置基準をもっと良くしようとして、補助金を厚くしてくれているところもある。ただ、格差があるので、国の政策が変わらないと子どもは救われない」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)

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