遠距離から伸びる右ストレートをまともに被弾した結果、その衝撃からケージにぶつかり、反動で顔面から前のめりにダウン。その壮絶かつ衝撃的なKO劇を受け、即座に止めたレフェリーの判断に対して「選手生命を考慮したら妥当」と擁護の声が多く寄せられた。
12月3日にフィリピンで開催されたONE Championship「ONE FIGHT NIGHT 5」。エドソン・マルケス(ブラジル)とエドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)の対戦は2ラウンド、マルケスが右ストレートでフォラヤンをKOして勝利。ワンパンチで試合を止めたレフェリーの判断を巡っては、実況席やファンから選手の安全を考慮した意見が上がった。
かつてONEライト級王者としてフィリピンの格闘界を牽引してきたチーム・ラカイの重鎮フォラヤンも39歳。4連敗中のなか、復活をかけた地元での試合に臨んだ。対するマルケスは階級を下げ、試行錯誤の最中。ライト級戦線で早く結果が欲しいところだ。
試合開始、地元の英雄への大きな声援のなか、ともにストライカー同士の対決は距離の攻防。長いリーチを活かした一発があるマルケスに、フォラヤンは近い距離で慎重な動きを続ける。ラウンド後半には関節蹴り、カーフキックなどに突破口を見出したかに見えたフォラヤンだが、マルケスも前蹴りやパンチで応戦。ラウンド終了間際には強い右でフォラヤンをグラつかせラウンドを終えた。
2ラウンド、フォラヤンはロー、カーフを露骨に嫌がるマルケスの反応を受け、ひたすらカーフ、さらに得意のパンチも打ち込んでいく。一方のマルケスは遠距離から関節蹴りやパンチで反応。一歩も引かずに果敢に前に出て左右のフック、前蹴りを繰り出していくふぉらやんだったが、ケージ際で一気に畳み掛けたその時だった。体を入れ替えたマルケスが、離れ際に右のロングレンジからのストレートを一閃。
これをまともに被弾したフォラヤンは、パンチで仰け反った衝撃でケージに頭をぶつけると、今度はその反動で前のめりになって頭から崩れ落ちた。すぐに立ち上がったフォラヤンだが、危険と判断したレフェリーが試合をストップした。
余りにも呆気ない幕切れにABEMA実況・西達彦アナウンサーが「もうちょっとやらせてあげたい感じはありましたか?」と解説の大沢ケンジに尋ねると「早く止めることに文句を言っちゃ駄目だと思います」と、選手のダメージを考慮したレフェリーの行動を全面的に支持した。
ゲスト解説の竹浦正起も「まだ(試合を)観たい気持ちもありますけど…フォラヤン選手のことを考えると妥当かと。これ以上やってもパウンドを貰ってダメージが溜まっちゃうだけなのかなと。まともに貰っちゃってますし」と追加されるダメージを考え試合を止めたのは正しい判断という意見だった。
こうしたやり取りを受け、視聴者からは「ちょっと早い」「まだ見たかった」という意見もあるなか「足に来てたから止めて正解」「年齢を考慮して早く止めた方がいいと思った」「頭から崩れおちてるから止めたのは妥当」などなど、フォラヤンの安全を考慮したレフェリーを支持する意見が大多数だった。
完敗を喫したフォラヤンはこれで5連敗となった。かつての絶対王者は地元での復帰戦でも厳しい現実を叩きつけられたが、試合後ケージを後にするフォラヤンに対して、勝者のマルケスがリスペクトを込め深々とお辞儀しながら見送る姿も印象的だった。
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