“マッチングアプリ”を学問の視点で分析 婚活を実践・研究した大学准教授が明かす魅力「人間が解放されたという見方も」
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 新たな出会いの形として定着し始めた“マッチングアプリ”を、学問の視点から分析する経営学者がいる。なぜマッチングアプリに着目したのか話を聞いた。

【映像】准教授が明かすアプリの魅力

 書籍タイトル『大学准教授がマッチングアプリに挑戦してみたら経営学から経済学、マーケティングまで学べた件について。』と、マッチングアプリと学問という関係が遠いような内容を1冊の本にまとめたのが、東京都立大学の高橋勅徳准教授だ。

「僕自身が婚活である意味苦労したし、つらい目にも遭ったので、そういう目に遭う男の人が1人でも減ってくれたらなと考えながら、マッチングアプリを大学の先生が使ったら“こんな学びを得た”というスタイルの本を書いた」

 経営学者でありながら婚活の研究を続け、「婚活戦略」という本まで出版した高橋准教授。新刊では、自身の婚活体験などをもとに、マッチングアプリからの学びを面白おかしくまとめている。

「例えば婚活という場面でみても、婚活のコンサルタントしている人や会社の人とかは、プロフィール写真の撮り方やプロフィールの作り方でマーケティングが必要と言う」

 良さを知ってもらい、手に取ってもらわなければ始まらない――。人と人とのマッチングをマーケティング活動としてとらえると、ビジネスの視点からみることも戦略の1つとしては重要なのかもしれない。ただ、マッチングアプリは少し難しい部分があると高橋准教授は分析している。

「今だとマーケティングでは1to1マーケティングが流行っている。1対1でカスタマイズして、顧客情報をベースにし、その顧客情報に基づいてカスタマイズする。その人に刺さりやすい商品のアプローチをしていくのがマーケティングのやり方だとしたら、自分に興味を持ってくれている女の人がどんな人なのかがわかるのが前提だが、アプリではわからない。

 “ショットガンアプローチ”。基本女性が何を求めてアプリを使って、どんな男性に対するニーズを持っているのかブラックボックスの状態でアプリを使う。それは女性も同じだが、情報が入ってこない状態でマッチングを成立させようとしたら、一番合理的な選択は、とりあえず目についたものから1つずつ選択して、マッチングした後にコミュニケーションしながらなんとか関係を深めていくという戦略しかとりようがない」

 相手のニーズが分からない中、興味を持ってもらうために重要になるのがプロフィール。『ABEMAヒルズ』では、マッチングアプリ歴8年の楪キャスターのプロフィールを高橋准教授に見てもらった。

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楪キャスターのプロフィール内容(抜粋)
はじめまして。広島出身、都内在住です。趣味はテニス、ロードバイク、ドラマ鑑賞、旅行、料理、ゲームなど…!あとはお酒が大好きです(笑)

「プロフィール見たときに1個考えないといけないのは、自分のことしか書いてないこと。『お酒好きです、テニスロードバイクドラマ鑑賞が好きです』と、自分のニーズばかり。男性側のニーズを想定した作り込みがされてない。例えば、ロードバイクについては真剣に取り組んで楽しんでいるように捉えられるので、それを一緒にできる男性の方が好ましいですよね。そこを全面的に狙うといい」

 11月に発表された調査結果「出会いのきっかけ」(明治安田生命調べ)では、ことし結婚した人の出会いのきっかけは「マッチングアプリ」が22.6%と初めての首位に。新たな出会いの形としてネットでのマッチングは当たり前になりつつある。

高橋勅徳准教授
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 ただ、マッチングアプリは年収や職業などの属性で並べて比較できる仕組みのため、欠けているところを認めるのではなく、「このキャラが出るまで」と次々とガチャしてしまう可能性があり、ほとんどの人が「弱者」として切り捨てられてしまうという残酷な面があると高橋准教授は指摘する。

 そんな高橋准教授は、婚活を実践・研究してきたいま、新たな境地にたどり着いたよう。

「マッチングアプリは確かに、今の恋愛観とか我々の世代の人間観からすると、非常に非人道的な意思決定をしてしまう人間を育てているようにも見えるが、同時にマッチングアプリがあることで人間が解放されたという見方もできる。不本意な人と無理に付き合ったり結婚しなくていいよねって」

(『ABEMAヒルズ』より)

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