EXIT兼近「家で遊んでいたら“外へ行け”、外で遊んでいたら“うるさい”。大人のルールで子どもが蔑ろにされているのは納得できない」 苦情きっかけで廃止へ、公園のあり方は
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 長野県長野市の公園「青木島遊園地」が、子どもの声がうるさいなどの苦情が発端となり、来年3月に廃止へ。今、波紋を広げているこのニュース。というのも、公園の廃止がたった1世帯の苦情申し立てをきっかけに決定したためだ。

【映像】子どもの声に悩む住人が撮影した実際の音声※今回とは別のケース

 苦情を申し立てたのは公園ができる前からの住民で、2004年、青木島遊園地が整備されてから間もなく苦情を寄せてきたという。公園の保全をしていた児童センターの館長は「一番の苦情は、センターに子どもを迎えに来る保護者の車がエンジンかけっぱなしだとか、公園で中学生が金属バットで野球をやっているとか、児童センターの子どもの声がうるさいとか、花火を夜やったりしてうるさいとか」と説明。

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 市と児童センターは、車で迎えに来る保護者への注意喚起、遊具や入口の位置を変え、子どもたちに大人数で遊ぶことを避けるよう指導するなど、さまざまな対策を取った。しかし去年3月、住民が直接公園にやって来て、遊ぶ子どもたちを引率する職員に「午前中は遊ばせるな」「午後から遊ばせてもいいから5人まで」と主張。児童センター側は、受け入れは難しいとし、利用者も減っていたこともあり公園の利用自体を取り止めた。

 そして去年8月、長野市側と住民の話し合いも平行線となり、廃止へとつながった。廃止を決めた長野市は、「それ(音)をずっと毎日のように繰り返されて聞いているといろいろご意見もあったのかなというのは、我々も察するというか、わかる」(公園緑地課の平沢智課長)。さらに、利用されなくなった公園の維持に税金を使うことはできなかったという。

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 子どもの声は騒音なのか。また、廃止にならなくとも禁止事項ばかりになった公園の存在意義とは。8日の『ABEMA Prime』で議論した。

 今回の件について、社会心理学者で金城学院大学教授の北折充隆氏は「“1人の声で”という部分が強調されているが、他の近隣の人たちはどうなのかが見えてこないのが気になる。『サイレントマジョリティ』という言葉があって、声が大きい1人だけがクローズアップされたものの、実は周りの人たちもうるさいと思いながら何も言わなかったのかもしれない。現に公園廃止となった時に、例えば住民運動みたいなものが起きていないことを考えると、本当に必要とされていた施設なのか。“1人の人”ということを強調して切り捨ててしまうのは少し危険なのではないか」との見方を示す。

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 逆に「子どもの声は騒音ではない」という人たちがサイレントマジョリティで廃止を受けて異議を唱えている可能性はないだろうか。北折氏は「NIMBY(Not In My Backyard)という言葉がある。世の中に必要だが自分の居住地域にはあってほしくない施設のことで、典型的なのは原子力発電所や火葬場だ。ただ、中には小学校や中学校、保育園、幼稚園も入っていて、こういう定義を突き詰めていくと、子どもの声をうるさいと感じない人ばかりではないことが見えてくる」と主張する。

 子どもの声を騒音と考える人は55.8%と一定数存在する(Jタウンネット調べ)。大正大学教授の白土健氏は「現代の家族構成は、核家族や単身者世帯、高齢者世帯など子どもと接しない家庭が多く、許容範囲がどんどん狭くなってきている。おじいさんからお孫さんまで3世代が一緒に住んでいれば慣れるし、子どもについて理解もするだろう。そういったことがないまま、子どもの声を不快に感じてしまうレベルになってしまうのが大きな問題だと思う」と指摘する。

 東京都では2015年の条例改正で、それまで地域や時間ごとの音声基準に含まれていた子どもの声などを規制の対象外にした。北折氏は「基本的にこの方向で問題ないと思うが、声が大きい人への配慮を考えた時には解決できない。先ほどの“遊ばせていいのは5人まで”というのは正直ナンセンスだが、“午後に使わせる”という棲み分けはありだと思う。公園は子どもたちだけのものではなくて、高齢者の憩いの場、避難所としての機能もある。例えば、子どもが学校に行っている午前中は高齢者が使い、午後は子どもたちに遊んでもらう。時間帯と機能をきちんと組み合わせれば、少なくとも廃止という方向にはならないのではないか」との考えを述べた。

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 白土氏は「公園の遊具も耐用年数が過ぎていて、切り替えの時期。区がワーキンググループを作って要望を聞くと、参加するのは大人が多い。子育て中の人は忙しくて出られないので、お年寄りや参加した人の声を反映する。そうすると健康遊具になり、子どもの遊具がどんどんなくなってしまう。大勢の意見を聞くことができる機会を作れるように、そして魅力ある誰もが使える公園ができればと思っている」とした。

 一方で北折氏は「今回の件は車のアイドリングがスタートになっているような話だ。車を停めていたのは“ほんの1、2分送り迎えのために”という人たちだと思うが、それが100人いたら100分の騒音が続く。一人ひとりはほんのちょっとのつもりであっても、溜まっていくと近隣の人たちにとっては大きい。それが結果的にトラブルに発展していくので、“自分だけちょっと”という考えは改めたほうがいいかもしれない」と呼びかけた。

 小林史明衆議院議員は「全国的にこのような事例が多いのであれば、自治体が条例を作ったように、国が法律を作るというのもありだと思う。つまり、“子どもたちがいなくなるのはこの国の最も大きな危機だから、公園や児童施設、小学校の声は騒音ではありません。申し訳ないけどそれによる苦情は受け付けません”と。全国の情報を調べる必要はあるが、国としてオーバーライドしてやるのはあると思う」との見方を示す。

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 EXIT兼近大樹は「子どもの声が騒音ということだが、“外で遊びましょう”という大人のルールの中で遊んでいるわけで、そういう意味でぜんぶ大人のやっていることに感じられてしまう。『家の中はうるさいから外で遊べ』『外はうるさいから家に戻れ』で苦情が来るなら、家の一つひとつに防音施設を作るしかない。子どもは必要な存在なのに、大人たちから必要のないものにさせられている感じがして納得できない」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)

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