8組の師弟で“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の予選Aリーグ1位決定戦、チーム谷川VSチーム畠山が12月10日に放送された。第1局は前回大会優勝チームの畠山鎮八段（53）がチーム谷川・都成竜馬七段（32）に勝利。これに火がついたか、ここからチーム畠山の斎藤慎太郎八段（29）が2連勝の猛チャージを見せた。しかし、最後は谷川浩司十七世名人（60）、都成七段が師弟で力を合わせて逆転勝利。見事予選1位で2年連続の本戦進出を決めた。
チーム名「昇竜」のままに、予選リーグを駆け上がった。1位決定戦の相手は、前回大会で優勝を飾ったチーム畠山。昨年、チーム谷川は本戦に駒を進めたものの準決勝でチーム畠山で敗れた因縁があるだけに、谷川十七世名人は「今期、ぜひ戦いたいと思っていた相手」だったという。「まさか予選で対戦すると思っていなかったですが、（互いに本戦に出場して）ぜひ決勝の舞台でも戦いたいです」と対戦前から火花を散らしていた。
第1局は都成七段と畠山八段の対戦に。互いに奨励会幹事の経験を持ち、視聴者からは「新旧・幹事対決」のコメントも寄せられていた。雁木の出だしから、先手の都成七段が自分のペースに持ち込んだが、畠山八段も迫力十分に押し返し、一進一退の攻防戦に。193手に及ぶ対熱戦を制し、先勝を飾ったのは都成七段だった。
師匠の黒星に黙っていられないとばかりに、斎藤八段が登場。現役A級棋士、さらには2期連続名人挑戦者の実力を存分に発揮し、第2局では都成七段との乱戦を6五桂から仕留め、第3局では谷川十七世名人との雁木の一局を制し、一気に1-2と逆転に成功した。
カド番に立たされた第4局の相手は畠山八段。第3局で斎藤八段に敗れた谷川十七世名人だが、第4局までに師弟それぞれが2局に出場しなければならないルールから、連投が決定。都成七段から「よろしくお願いします」と思いを託され、この日初めての師匠対決が実現した。研究会仲間でもある両者の戦いは矢倉が志向され畠山八段ペースで進行したものの、百戦錬磨の谷川十七世名人が冷静に対応して逆転に成功。ピンチをしのぎ、2-2でフルセットに持ち込むことに成功した。
運命の第5局は弟子同士の対決に。谷川十七世名人から「最後は斎藤-都成戦でしょう。弟子が行きます！」と送り出された都成七段の先手で、相掛かりの戦型となった。「イメージした展開にはなったが非常に難しい将棋だった」と終始都成七段ペースで進行。最後は▲5三歩から一気に押し切り、109手で勝利を掴むと「形勢がどうだったかはわからないけど、全体的にはまずます指せたのかなと思う」と満面の笑みを浮かべた。
予選で通算5局に登場した都成七段は4勝と好成績を残し、フルセット最終局でも大きな戦果を挙げた。気になるのは好調の要因だ。司会の本田小百合女流三段（44）から問われると、「やっぱり、背負うものができたからでしょうか…」と一気に緊張が緩み、優しい“パパの顔”に。これにはファンにも、「ほっぺがつやつや」「言わせたw」「誘導w」「本田先生ナイスです」「なんかこっちまで照れるな」「結婚て大事だな」と幸せが伝播した様子。今年誕生したばかりの愛娘と家族の存在は、大きなパワーになっているようだ。
この結果、チーム谷川は堂々の予選Aリーグ1位通過が決定。目標に掲げる「優勝」一点を目指し、本戦でも着実に歩みを進める。一方、敗れたチーム畠山は2位通過を目指し、次戦では鈴木大介九段（48）率いるチーム鈴木と豊川孝弘七段（55）のチーム豊川の勝者と対戦する。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
