8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の予選Aリーグ2位決定1回戦が12月17日に放送された。チーム鈴木とチーム豊川による第4局は鈴木大介九段（48）が豊川孝弘七段（55）に快勝。奨励会時代から対戦がある古い付き合いの師弟対決を制した。対局中には、豊川七段がボヤいてみたり、叫んでみたりと、現在の公式戦では見られないようなアクションを連発。これに鈴木九段が「昔はボヤく人もいた」と思い出し笑いすることとなった。
藤井聡太竜王（王位、叡王、王将、棋聖、20）の活躍により、将棋ファンも増え、また放送対局も増えた中、対局中の様子と言えば、棋士が声を発するのは時折つくため息や、記録係に時間を確認したり、棋譜を求めたりする程度。それ以外は駒音だけが響く程度で、静寂の時間が長い。ところが一昔前に戻れば、棋士は指しながらもっと独り言を口にしたり、場合によっては棋士同士が雑談したり、ということまであった。
鈴木九段も、その次代を知る者の一人。将棋界のエンターテイナー豊川七段とは奨励会時代から指しており、プロ入り後も対戦。今回の対局時のようにあれこれしゃべる対戦相手というのも懐かしかったのだろう。対局後「手付きとか発声とか、豊川さんと指しているなっていうのを思い出して懐かしい気がしました。昔の棋士はボヤく人も多かったし、自分もボヤく。今みたいに黙っている人は少なくて、そういう意味でも懐かしくて楽しみました」と微笑んだ。また視聴者も「しゃべってるというか叫んでる」「これ普通なんだｗ」「笑ってはいけない対局」「どっちも楽しそうでなにより」と反応していた。
近年ファンになった人からすれば、マナー違反ではと思っても不思議ではないが、まさに将棋界の「古き良き時代」というシーン。藤井竜王やその他の人気棋士が、対局中ながらあれこれ話している様子があっても、それもまた一興かつ一局かもしれない。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
