まだ見ぬ“新しい景色”を目指して――。FIFAワールドカップ、7度目の出場となった日本代表。現地カタールでピッチリポーターを務めた元日本代表で現ヴィッセル神戸の槙野智章が、激闘の連続を振り返った。
グループステージ初戦は、過去4度のワールドカップ優勝を誇る強豪ドイツ(FIFAランキング11位)。PKから先制を許するも、後半に投入された堂安律と浅野拓磨がゴールを決め、2-1で逆転勝利。最高のスタートを切る。
続く第2戦は、日本(同24位)より格下のコスタリカ(同31位)。日本代表は終始攻めあぐねる中、クリアミスからの失点が響き、0-1で敗北。
グループステージ突破へ後がない第3戦、相手は「無敵艦隊」スペイン(同7位)。ドイツ戦同様、先制を許して前半を終えるが、日本は後半から入った堂安や三笘などの攻撃的な選手が躍動。堂安の今大会2点目となるゴールで同点とすると、三笘が“1mm”でボールに追いついての切り返しから、田中碧が体で押し込み逆転。2-1でスペインを撃破し、2大会連続となる決勝トーナメント進出を決めた。
決勝トーナメント1回戦、相手は前回大会準優勝のクロアチア(同12位)。我慢の展開が続いた日本だが、前半終了間際、ゴール前のこぼれ球を前田大然が押し込み先制。今大会初めてリードしたまま前半を終える。しかし、後半10分にクロアチアに強烈なヘッドを決められ同点に。試合は延長戦でも決着がつかず、PK戦の末、惜しくも敗北した。
■槙野智章「次の4年は個の能力を上げる大切な時間」
目標としていたベスト8まであと一歩だった日本代表。ABEMAピッチリポーターとしてその戦いを間近で見ていた槙野は、今大会を次のように振り返る。
「1試合1試合こなす中で、表情やプレーがガラッと変わっていき、右肩上がりに成長していった。普段の練習も取材に行っていたが、スタッフの顔つきも変わっていく。それと同時に、僕らメディア側も一緒になって戦っていたと感じた。森保ジャパンの立ち上げ時からいるが、4年前からみんなが変わった」
ドイツ、スペインという世界の強豪を相手に二度の逆転勝利を果たしたことが印象的だったが、攻守ともに「大きく前進した」と評価する。
「自分たちからアクションして、“どうやったらゴールを奪えるか”を常に考えて、実際に点をとることができた。相手のミスではなくて、どうやったら相手が嫌がるか、自分たちが楽しめるかを考えた上でゴールをこじ開けられていたので、4年前から大きく前進したと思う。守備も苦しい、難しい時間帯はたくさんあったと思う。ただ、そこで吉田麻也選手を中心にみんなで乗り切った中での逆転劇なので、我慢強く守れた大会だったのではないか。全体を常にコントロールできた、積極的な良い守備ができたと思う」
一方で、ベスト8を達成するための課題はどこにあるのか。
「決勝でメッシやエムバペが見せたような、圧倒的な個の能力というのは向上していかなければならない。チーム力は4年前より上がっているが、個人がビッグクラブに移籍してポジションを奪うような、もっと厳しい環境に身を置く。そういう意味では、この4年間は個の能力を上げるために大切な時間になる」
再び始まる挑戦。槙野は注目選手にMF鎌田大地の名前をあげた。
「大会前からものすごく注目されていたが、鎌田選手にインタビューすると『悔しい』『自分のプレーができなかった』という発言が多かった。4年前の大会で悔しい思いをした遠藤選手や浅野選手が今回大活躍している。だからこそ、この悔しい思いをした鎌田選手が化けて、“4年前の自分とは違う”プレーを見せてくれるのではないか」
(『ABEMAヒルズ』より)