「FIFAワールドカップカタール2022」。今大会で話題となった“本田解説”をさらに面白くさせたのが、中継映像からは伝わらない状況を選手目線で逐一報告したABEMAピッチリポーター・槙野智章との掛け合いだった。
槙野:スタジアムの雰囲気や声援で「聞こえない」というアクションを起こしている選手たちもいるので、コミュニケーションは取りづらそうな感じはしますね。
本田:コミュニケーションは取れへんからね、このスタジアムでは。1個横にいる選手の声も聞こえないんで厳しいですね。
日本対ドイツ戦、伊東純也のクロスに前田大然が合わせるも、惜しくもオフサイドとなったシーンでは、
槙野:でも、いい守備からでした。ボールを奪った瞬間にスピードアップしましたよね。
本田:マキ、今日これやんな?攻め方。
槙野:そうなんです、これを徹底することですよね。
本田:間違いない。
さらに、日本代表キャプテン・吉田麻也がドイツのハヴァーツを置き去りにする切り返しを見せた際には、2人もほれぼれとした様子でコメントした。
本田:見た槙野?麻也の切り返し。
槙野:最高。この大舞台でできるってなかなかないですよ。
本田:ナイス麻也!
そして、ピッチリポーターとしての存在感を示したのが、スペイン戦での三笘薫から田中碧への際どいアシストのシーン。その瞬間を近くで見ていた槙野は、ボールがラインを割っていないことを確信していた。
槙野:出てないぞ!出てないぞ!
本田:どうなんこれ、なになに?ゴールキックってこと?どういうこと?
槙野:ラインは割ってないぞ。
本田:割ってない!?じゃあ、もう入ったやん。
槙野:俺の目の前だったぞ、今。
本田:(リプレーを見て)出てたっぽいね、マキこれ。
槙野:ノオォォォォゥ!
実況:ちょっと時間がかかっています。
本田:え、出てないかも!どう!?
槙野:出てないでしょ。
長引くVAR判定だったが、結果は見事ゴールの判定。盛り上がる日本チームの中で槙野も吠えた。
実況:田中碧のゴールになりました!
槙野:出てないんです!!
“1ミリの違いがわかる男”槙野智章。ただ、様々な情報を視聴者に届けていく中で、本田氏から注意を受けてしまう場面も。
槙野:(スペイン代表の)フェラン・トーレスは、ルイス・エンリケ監督の娘と付き合っているんですよ。そういう意味でいいプレーしたいと思ってるんじゃないですか?
本田:日本勝っているときに冗談やめてもらっていいかな。
槙野:すみません。
本田氏の相棒としての印象が強い槙野だが、ピッチリポートを務めたのはドイツ戦、スペイン戦の2試合だけ。コスタリカ戦とクロアチア戦の本田氏による解説について、ネット上では、「槙野がいないから少し静かだった」「槙野日本にいるから寂しいんじゃないか」などの指摘が相次いでいた。
アルゼンチン対フランスによる決勝戦の解説が終わり「槙野おらんのがやりづらかった」と語った本田氏。表彰セレモニーが始まって真っ先に気にかけたのも、槙野のことだった。
本田:いや~、槙野日本に戻っちゃったんでね。これを生で見れないのはかわいそうですね。
ワールドカップ閉幕後、19日の『ABEMAヒルズ』に出演した槙野は、改めて自分たちのやり取りを確認し、「普段の自分たちだったのであまり大変ではなかった」と振り返る。
「ありのまま起きていることを、テーブルでご飯を食べたり遊んでいる普段の槙野と本田で(伝えた)。サッカーを楽しんで提供することを1つのテーマにしていたので、楽しかったですよ。現役ならではの目線でいろんなものを伝えました。僕も本田さんも今回初めての試みで、まだまだ至らない点がたくさんありました。『こういう表現が良いんだ』『こういうことは言っちゃ駄目なんだ』と、勉強しながらやっていました」
また、ピッチリポートをする中では、「選手目線」を大事にしていたという。
「僕らは現役選手ということで、選手たちがどういう表情でどんなコミュニケーションを取っているのか。カメラに映らない部分を伝えるように意識しました」
さらに槙野は、プレイヤーとして出場したW杯との違いについて「選手でやってるほうが楽」と語った。
「意外に見る側と、プレーしている側の感覚は違う。見る側が『危ない、決められそう!』と感じる場面も、選手としては全然大丈夫だったりするんですが、見る側だとドキドキして疲れます。見る側だといろいろな準備もあるし、『どうやったら選手のことをわかっていただけているか、対戦相手のことをわかってもらえるか』を考えて話すので、プレーしてるほうが楽です(笑)」
(『ABEMAヒルズ』より)