将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が12月27日、棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第2局で佐藤天彦九段(34)に勝利し、棋王戦五番勝負の初挑戦を決めた。2023年2月5日に開幕予定の五番勝負では、タイトル保持者の渡辺明棋王(名人、38)と対戦。奪取を果たした場合は年度内に六冠獲得とあり、大きな注目を集めることになりそうだ。
12月23日の順位戦A級6回戦で公式戦300勝を達成した藤井竜王が、年内最後の大一番を「挑戦権獲得」と最高の形で締めくくった。藤井竜王は準決勝で敗れたものの、棋王戦独自のベスト4以上対象の敗者復活戦を勝ち抜き、挑戦者決定二番勝負に進出。勝者組優勝者の佐藤九段から第1局、2局と連勝を飾った。参戦6期目にして待望の初挑戦権を手にし、「棋王戦ではこれまで上位まで進めたことがなく、今期初めてベスト4まで行くことができた。たくさん対局することができて充実感があるし、結果が残せたことを嬉しく思います」と語った。
本局は藤井竜王の先手番で、佐藤九段が横歩取り3三桂戦法を採用。ややマイナーな作戦ながら、羽生善治九段(52)との勝者組決勝戦でも用いており、佐藤九段の自信と気合が見られる出だしとなった。藤井竜王は中住まいに構えて後手の構想を伺う。じりじりとした展開から佐藤九段が桂馬を跳ねて仕掛けたが、藤井竜王が的確な対応で駒得を築いた。ペースを握ると、藤井竜王がそのままリードを拡大。後手の粘りを許さず、冷静で正確な受け将棋を見せ佐藤九段を圧倒した。
向かうは10連覇中の絶対王者・渡辺棋王。藤井竜王がプロ入り前の2012年度(第38期)からタイトルを保持しており、棋戦のすべてを熟知していると言っても過言ではない。しかし、両者がタイトル戦で激突した過去3回すべてで藤井竜王がタイトル奪取・防衛を果たした実績も。今年2月の王将戦七番勝負第4局以来約1年ぶりのタイトル戦に向け、「開幕までにしっかり準備して状態を整えて、五番勝負で良い将棋が指せるように頑張りたいと思います」と抱負を語った。勢いに乗る藤井竜王に対し、渡辺棋王はどのような作戦を用意して最強五冠王を待ち受けるか、期待は高まるばかりだ。
藤井竜王は、新年1月8日から王将戦七番勝負で羽生善治九段(52)と初防衛戦をかけて戦う。全国各地で行われるタイトル戦が2つ同時並行されるとあり「始まってみないとわからないところが多いですが、体調にも気をつけながらやれればと思います」としたが、今後も“ハードスケジュール”という強敵とも戦うことになりそうだ。渡辺棋王の11連覇か、藤井竜王が初奪取&年度内六冠獲得を決めるか。2023年も藤井竜王の一戦一戦から目が離せない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)