海外に行かなくても国内で十分? パスポート保有率19%の日本 竹中平蔵「もったいない」 あおちゃんぺ「みんな“行って良かった”と話すが、土台に乗れない人もいる」
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「日本人の5人中4人はパスポートなし」

 外務省が今年発表した旅行統計によると、去年12月末時点で日本人のパスポート保有率はなんと19.1%。約8割がパスポートを持っていないという結果になった。

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 コロナの影響で有効期限が切れたままになっているという理由も考えられるが、実はコロナ前の2019年でも23%。アメリカ44%、イギリス76%など、諸外国と比べてもかなり低い割合だ。

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 なぜ日本人は海外に行こうとしないのか。これまで北米、南米、アジア各国など30カ国以上を訪れたという旅人・ハッシーさんは、海外に出ることのおもしろみが減ったことを要因の1つにあげる。

 「今はSIMカードを空港で買って入れ替えるだけでネットは使えるし、SNSではずっと日本と繋がってる。宿泊先に帰ってもYouTubeを見れば、日本にいる時と変わらない生活を送ることができる。私が20代で旅をしていた頃と比べると、刺激感は減ったと思う」

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 海外に行ったところで日本と変わらない、SNSでなんでも情報が手に入る、留学もオンラインのほうが安上がり――。ネットの影響もあり、海外に行くことや外国で学ぶことの価値観が変わってきているのか。21日の『ABEMA Prime』で議論した。

 世界パスポートランキングを見ると、日本はビザなし渡航可能な国・地域の数が193カ国で、5年連続1位。そうした中で保有率が2割を切る現状に、慶應義塾大学名誉教授の竹中平蔵氏は「もったいない」と話す。

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 「日本は経済的に苦しくなっているのも事実だが、それでも海外に行こうと思えば行ける。私たちが若い頃から心がけてきたのは、“川を上れ、海を渡れ”という言葉だ。川を上って歴史の教訓から学び、海を渡って私たちが直面している問題は海外にもあることを知る。そういうことができるパスポートがありながら学ぶ機会を無駄にしているのは、ちょっともったいない。私はそういうことに憧れて留学もしたし、海外に比較的長く住んだし、コロナの前は月に1回海外出張をしていた。外国に行くと、日本のいいところもすごくわかる」

 ジャーナリストの堀潤氏は「世界各地に取材で、個人的にも好きで行くが、“最強パスポート”と言われているように本当に助かっている。ビザを取ろうと思ったら結構大変だ。パレスチナのガザでハマス(武装組織)に尋問を受けて拘束されかかった時に、日本のパスポートを見た彼らが『君たちはアメリカと戦争をした日本だな。君たちにだったら伝えられることがある。ソーリー』と言って、撮影のSDカードを返してくれた。これまで先輩たちが世界に対して築き上げてきた信用力の賜物が日本のパスポートだ」と説明。

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 一方で、「BlackDiamond」リーダーのあおちゃんぺは、「パスポートを作ったことがない。海外に行ってみたい気持ちはもちろんあるけど、韓国に行くなら新大久保でよくね?ハワイ行くなら沖縄でよくね?と思う。あとお金の問題で、旅行に行ける人はそんなに多くないんじゃないか。私は普通の20代よりはもらっていると思うけど、そんなにお金に余裕があるかというと、学びたい気持ちよりも目の前の生活の方が当たり前に大事だ」と疑問を呈した。

 堀氏は「自分の人生を切り開いてくれたのが、10代の頃にドイツに行ったこと。全然ドイツ語がわからないから教室で孤立していたし、差別も受けた。でも、隣に座っていたアメリカから留学に来ていた40代の女性が『ヘイ、潤。何になりたいの?』と。『将来メディアに行きたい』と返したら、『絶対あなたはキャスターになれる』と言われたことを、ふとした時に思い出す。アメリカ人の底抜けの前向きさに僕は支えられたので、やはり行ってよかったと思う」と振り返った上で、「なぜ留学の話をしたかというと、旅行に助成は出ないけど、留学には国費や自治体、その他企業などのサポートが一応あるから。国はそういう機会をもっと作って、少子化で限られた若い人に“とりあえず行ってこい”とやったほうがいいと思う」と提案した。

 中学高校時代に学年ビリを経験するも、偏差値を40上げて慶應義塾大学に現役合格を果たした、「ビリギャル」のモデルの小林さやか氏。現在、コロンビア大学教育大学院に留学中だそうで、「『ビリギャル』として認知を得てから、言われたのは『地頭が良かったんだろう』と。本当にそれだけかな?というのと、私は環境要因がすごく大きかったので、ビリギャルを科学的に解説できるようになりたいと思って認知科学を学んでいる」と説明。

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 留学して感じたこととして、「やはり来てみないとわからないことが本当にある。留学に興味はあったが、ずっと行くタイミングを逃していたし、30歳超えて『怖いな』とも思っていた。そんな中、夫の後押しもあって留学に来たが、やはり日本人は少ない。私の大学院は5000人いるが、日本人は20人しかいない。ただ、バックグラウンドが全く異なる人たちとの議論は、教授の話より勉強になる。そして、“私、行けちゃうな”という自信がつく。留学に必要な英語をコロナ中に勉強して、TOEFL100点を超えてから留学に来た。行く前は不安に思っていたが、なんだかんだテストも90点以上取れるし、“いけちゃうな”というのがすごく大きな成功体験になると思う」と語った。

 竹中氏は「留学というのは、アウェイで勝負するということ。語学のハンデもあるし、“日本人だったらわかるだろう”がわかってもらえない。その中で精神的にも鍛えられるし、こういう違いがあるんだな、この違いを許容しなきゃいけないんだな、という許容度も広がる」との考えを述べる。

 こういった意見にあおちゃんぺは「やはり“行って良かった系の話”を皆さんされている。その土台に乗れるのは経済状況が上のほうにいる方で、“行って良かった”になれない方もいる。話を聞いて『行きたい』となるのと、実際に行くかというのは別の話だ」とした。

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 堀氏は「僕は借金して留学にぶち込んだ。社会人10年目になるぐらいまで返したけど、それは働く場所があったからできたこと。今は非正規も広がっているし、雇用情勢も不安定だというところで、公的支援で“そこは面倒を見る。それよりも好きなように体験してきてほしい”ということを広げないとダメだ」と指摘する。

 ハッシーさんは「お金の部分での不安はわからないでもないが、海外で稼げば解決できることでもあると思う。僕自身、海外のいろんな国で稼いだこともあった。日本での不安な報道や、将来への不安の報じ方が大きければ大きいほど、海外に出る若い人は減るのではないか」と懸念を示した。(『ABEMA Prime』より)

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