将棋ファン・SKE48鎌田菜月、完全復活した羽生善治九段に感激「年齢での衰えと思っていて恥ずかしくなりました」1月8日から藤井聡太王将にタイトル挑戦
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 将棋界のレジェンドもついに限界か――。そんなことを1年ほど前に思っただろう少なくない関係者・ファンも、今の状況に驚き、また喜んでいることだろう。1月8日に開幕するALSOK杯王将戦七番勝負で、5つのタイトル保持する藤井聡太王将(竜王、王位、叡王、棋聖、20)に挑戦するのは、タイトル99期を誇る羽生善治九段(52)。約2年ぶりとなるタイトル戦出場だ。2021年度は大不振に陥り、順位戦A級からも陥落。ついに衰えが来たかと囁かれた中、2022年度は見事に復調し、挑戦権をかけた王将リーグでは全勝までした。将棋ファンのSKE48鎌田菜月も「一瞬心配してしまった自分が恥ずかしくなりました」と苦笑いするほど。新たな挑戦へと踏み出した羽生九段の魅力を、いろいろな角度から聞いた。

【中継】第72期ALSOK杯王将戦七番勝負 第一局1日目 藤井聡太王将 対 羽生善治九段

 羽生九段は2021年度に14勝24敗と大きく負け越し、プロ入り以来初の勝率5割切りどころか、4割にも届かず.368と低迷した。名人在位を含めて29期維持した順位戦A級以上の記録も途絶え、B級1組に降級。各棋戦でも早々に姿を消し、関係者・ファンからは心配する声が相次いだ。ところが2022年度は復調し、年度勝率は一時7割を超え、この調子なら2015年度以来となる年度勝率6割到達が見えた。タイトルホルダーから元気な若手までが揃った王将リーグは全勝で挑戦権を獲得。他棋戦でも活躍が目立ち、2021年度とは別人のように白星を積み重ねた。

 鎌田 対局の質がどうとかは私自身語れないですが、年齢での衰えは人間誰しもしていくものという考えをどこかしらに持っていました。私自身も20代半ばに差しかかってきて体力の衰えも確実に来るわけで、それと一緒で人間の脳も衰えると思っていたんですが、羽生先生自身がそれをどう捉えられているんだろうと思っていたんです。若さの反射が勝つのか、経験を研磨していったものが勝つのか。インタビューでもそこを突っ込まれて聞かれるところもたくさんお見かけしたんです。その時に、周りからのレッテルに対する思い込みをしないようにしているともお話をされていて「あ、この方は年齢がどうとか思われていないんだな」と。衰えではないとご自身がおっしゃっていたので、それに関しては一瞬心配してしまった自分が恥ずかしくなりました(苦笑)。甘く見ちゃっていたというか。ご本人的には関係ないんだと、反省しちゃいました。

 衰えではなく一時的なスランプだったとしても、将棋の世界はソフト(AI)が導入されてからというもの、進化のスピードは段違いに上がり、必要とされる研究量も激増した。52歳である羽生九段も、他の若手のようにパソコンでソフトを使い、未知の領域を開拓し続けているからこそ、再び勝利がつかめるようにもなってきた。今まで培ったものが、ソフトによって否定されることも珍しくない。それでもなお研究を続けなければ明日が来ない。

 鎌田 新聞で棋譜を見る時代から生きてこられた方が、パソコンでAIを使われているし、羽生先生に至っては、AIの抜け道を探すとまで宣言されちゃっています。その気持ちの持ちようが、向上心なのか、勝負師としての勝ちへのこだわりなのか、どこから来るんだろうと尊敬します。みなさんパワフルだなと。勝ちへの貪欲さは、ただただ尊敬します。

 将棋ソフトに対しては、数年前と比較すれば棋士側も大多数が受け入れた。かつて「人間対AI」という対立構図があったことを考えれば驚くべきことだが、藤井王将が「AI超え」という言葉を流行らせたように、今もなお「将棋ソフトに人間は負けない」という思いが、棋士にもファンにもどこか残っている。

 鎌田 世界的にAIがいろいろなところで発達していく中で、人間が思考することの意味というのを改めて考えさせられる機会になりますよね。私たちも、将来いらなくなる職業の一覧とかにぞっとすることもあると思うんですよ。その波が将棋界にも来ていて、盛り上げるためにいろいろなメディアさんが取り上げていくところじゃないですか。そこに改めて先生たちが立ち向かっていく姿はかっこいいと思いますし、逆に利用するだけ利用してやるぐらいの心意気がすごく気持ちいいなと思います。

 様々なものを乗り越え、取り入れ、約2年ぶりとなるタイトル戦に向かう羽生九段。対局内容はもちろんだが、どんな姿で晴れ舞台に戻ってくるかも、鎌田としては大いに気になるところだ。

 鎌田 和服も楽しみですね。羽生先生はそんなに奇抜なものを着られるイメージがないですが、スーツの時のネクタイには意味があったりしますよね。なので、対局での和服についても知れたらと思います。過去のものをお使いになるのか、新しいものをお召しになるのか。いつどの対局のものをお召しになるかとか考えると、いろいろ考察しちゃいますね。たぶんいいことがあった時のもの、勝った時のものをお召しになるんじゃないかなと思います。ただ、ここでタイトル100期を逃した時の和服とかだったら、ぶわーってなりますね(笑)。心臓が持たないです。

 かつて呆れるほどの強さで将棋界のタイトルを独占した羽生九段が、今度は自分と同じようにタイトルを独占する勢いで勝ちまくる藤井王将に挑戦する。棋士人生で最悪の不振を乗り越えてからのタイトル挑戦は、ドラマでも描けないほどのシナリオだ。注目の第1局、羽生九段はどんな表情で、どんな姿で対局場に現れるか。鎌田を含めた将棋ファンが、みんなで刮目する。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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