20歳の五冠王が繰り出したジョークに、師匠は苦笑いを浮かべるしかなかった。8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の予選Bリーグ1回戦第2試合、チーム木村とチーム杉本が12月31日に放送された。チーム杉本の2連敗で迎えた第3局では、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖)が連投を決断。過去に4連覇の経験を持つ超早指し戦ながら前局で黒星を喫したとあり、藤井竜王は「反射神経が年々落ちてきているので…」と自虐。20歳の弟子がこぼしたジョークに、54歳の師匠・杉本昌隆八段は「その年で落ちてると言われたら…」と困惑の表情を浮かべていた。
弟子対決となった前局では、得意の角換わりでまさかの敗戦。時間に追われて着手が乱れるなど悔しい敗戦となり、「途中でフリーズしてしまった…」と肩を落とした。0-2とカド番で迎えた第3局は「私が責任を取ります」と立候補。杉本八段から「時間に追われ過ぎていたように見えた。タイトル戦を見ているような時間の使い方だった」と指摘を受けると、藤井竜王は右手を頬に当ててしょんぼりとした表情を浮かべた。
過去のABEMAトーナメントで個人、団体戦で4連覇を果たした藤井竜王にかかる期待は大きい。杉本八段は「ここは反射神経を活かして!」と声をかけて気持ちを盛り立てたが、「年々落ちてきているので…」と20歳の藤井竜王が自虐ジョークで返答。「その年で『落ちてる』と言われたら他の人はどうなるの!?」と笑い飛ばすと、藤井竜王も「じゃあ、そういうことで!」と笑顔を取り戻していた。
藤井竜王のボケ、杉本八段のツッコミという珍しい光景に、ファンは大喜び。「ちょっと拗ねてる?」「負けず嫌いやな~w」「竜王ジョークきた」「他の人どうなんねんww」「わろたw」とコメントが殺到していた。
気持ちを切り替え臨んだ第3局、木村一基九段(49)戦では、相居飛車の力戦形の一局を藤井竜王が122手で勝利。チームに待望の1勝を持ち帰った。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)