旧統一教会を巡る被害者救済法に元信者「ほとんどの人が救えない内容」 実効性を高めるカギとは
【映像】元信者が語る“被害者救済法の問題点”
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 旧統一教会を巡る被害者救済の新法が5日に施行された。施行されて間もない新法だが、その内容に不安の声もある。

【映像】元信者が語る“被害者救済法の問題点”

「ほとんどの人が救えないような内容。献金が抑止できるかというと、実際はそうなっていない」

 そう語るのは、旧統一教会の元信者でジャーナリストの多田文明氏。この新法は、寄付を求める際に“霊感”などの不当な手段で困惑させる行為を禁止して取り消し対象としたほか、子や配偶者からの返還請求もしやすくするなど、被害者救済を目的とした内容だ。多田氏は問題点を次のように指摘する。

「脅されたり、霊界の不安をあおられたり、困惑したり、威迫されたりして献金したものに対しては禁止になっている。しかし、実際は信者たちが喜んで献金・寄付をしている。だから、全然畏怖や困惑してお金を出していない」

旧統一教会を巡る被害者救済法に元信者「ほとんどの人が救えない内容」 実効性を高めるカギとは
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 いわゆる“マインドコントロール”された状態では正当な判断ができていないため、禁止行為に当てはまらなくなる可能性がある。また、新法では「寄付の勧誘を行う際に、寄付者やその親族の生活の維持に配慮しなければならない」と定めている。この配慮義務を怠った場合は「法人名公表」などの措置が取られるが、多田氏はこう懸念する。

「法人名が公表されたとしても、その団体が実は統一教会の名前を隠した団体であった場合、何の意味もなくなってしまう。公表したとしても、それが本当に統一教会に結びつくのかがわからなかったときにはあまり意味がないのではないか」

 不安材料がある中、多田氏は「宗教2世の当事者の団体『宗教2世問題ネットワーク』が国に提案した『書面送付制度』が実効性を高めるカギになる」と述べる。

「書類を送付することはすごく大事。今まで旧統一教会は『知らない』『信者が勝手にやった』ということばかり言ってきたが、書類を送付することで白を切ることができなくなる」

多田文明氏
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 信者の親族などが違反行為を書類にして勧誘者側に送ることで逃げ道をふさぐほか、消費者庁にも通知することで迅速な行政処分につながると考えられる。そして、旧統一教会自らの首を絞めるともみられる行動もあった。

「旧統一教会が2万件を超える嘆願書を提出したという報道があった。これを聞いてオウンゴールだと思った」

 旧統一教会側が文化庁に送付した、解散命令反対の嘆願書。そこには署名した人の名前や住所などを記載する欄があり、信者の情報を行政に送る形になった。

「コアな活動をしている信者たちの名前が入ってしまったので、配慮義務に違反したら団体名を公表することになる。信者たちが多く献金している団体だとわかれば、そこはほぼ旧統一教会だとわかる。新法の(法人名)公表という意味は少し出てきた」

 旧統一教会を巡る被害者救済の新法。この問題点を指摘する多田氏だが、「今後議論を行い、より良いものになってほしい」と期待している。

「私もどうしたら実効性があるかを元信者の目線からいろいろと考える。議論を深めてもらえば、新法を含めてもっと良い案がどんどん出てくる可能性がある」

(『ABEMAヒルズ』より)

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