“コラボ騒動”がもたらす影響に大空幸星氏「このままでは社会にとって損失だ」「上の世代には本当に変わって欲しい」
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 東京都監査事務局が1月4日、一般社団法人「Colabo(コラボ)」(代表理事・仁藤夢乃氏)に関する監査結果を公表した。

 コラボは2018年度以降、都福祉保健局から「若年被害女性等支援事業」の委託を受け、虐待や性被害などに苦しむ女性を支援する活動を行ってきた。しかし昨年11月、その会計に不正があるとして暇空茜氏が「住民監査」を請求。都の監査委員会が提出された領収書や帳簿の調査を行っていた。

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 ネット上で論争が続く今回の監査結果をどう見るのか。9日の『ABEMA Prime』では、社会事業に携わる当事者らと議論した。

【映像】大空幸星&安部敏樹&藤田孝典がスタジオで生議論

■コラボ「請求人が主張した事実のほとんどは認定されませんでした」

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 公表された監査結果では、暇空氏が主張していた不正のほとんどは“妥当ではない”とした一方、委託料の精算の中には不適切なもの、妥当性が疑われるものがあると指摘。監査事務局では、これらについて2月28日までに(1)都福祉保健局が経費を再調査し、客観的に検証可能なものにすること。(2)再調査の結果、不適切なものがあれば過去分も精査し返還請求等の措置を講じること、を求めている。

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 この結果を受け、コラボは声明で、領収書の不備については「女性やスタッフの安全確保のために領収書の記載は必要最低限とすることが多くあります」、また、都外遠隔地での宿泊代、高額だと指摘されていたレストランでの食事代やホテルの宿泊代についても「本事業目的以外への流用などではなく、あくまでも本事業遂行のために行われたもの」と説明。

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 その上で、「本件監査においては、なんら違法行為は確認されず、監査請求人が主張した事実のほとんどは認定されませんでした」「非難攻撃の大半は監査委員によって事実ではないことが確認され、退けられるに至りました」「東京都に対して丁寧な説明を改めて行う必要がある事項や、改善が必要となる可能性のある事項もありますが、これらについては真摯に対処し、よりよい事業の遂行を目指していく所存です」としている(「【弁護団声明】東京都に対する住民監査請求結果について」

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 ただ、東京都における「住民監査請求」は2016年に舛添前知事の経費返還請求を最後に、以降92年は却下・棄却されている。今回請求が認められたこと自体も異例であるが、“再調査”も久々の事例だ。

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 NPO法人「会計税務専門家ネットワーク」の若原芳治氏(公認会計士・税理士)は「ここ数年を遡ると、実際に監査委員が勧告を行ったのは1件しかなく、再調査の勧告を行うこと自体が非常に珍しい。この結果を東京都とコラボは重く受け止め、真摯に対応していくことが求められている」「今後の再調査に対しても真摯に対応し、潔白であればその点をきちんと主張していくことが必要ではないか」と話す。

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 「社会事業に関わっている方の大多数は真摯に取り組まれているし、全ての団体が不適切な処理を行っているかのように思われてしまうのは残念だ」「会計処理が分からない中、勉強しながら報告などを進めている側面もあると思う。資金が寄付等で賄えるようになり、管理面でも充実していくことが望まれる」(若原氏)。

■藤田孝典氏「請求人は監査の目的を履き違えているんじゃないか」

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 また、一般社団法人「リディラバ」の安部敏樹代表は「普通に“領収書は保存しとけ”という感じだ」としつつ、「勧告が出たことは重く受け止めるべきだが、現時点では違法性があるとは言われていないことも事実だ。そして事業の特性上、すべての領収書が出ていない場合もあると思う。コラボとしてはそうした点を一般の人にも理解してもらわなければ、事業への縛りが厳しくなり、存続が難しくなる可能性がある」と懸念を示す。

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 「会計のプロに頼れば全てが解決するという話ではないし、団体や事業の規模に応じて求められるものも変わってくる。やはり代表理事や理事たちが高いレベルで理解をしていなければならない。その意味では、コラボの事業費は早い段階から増えていったので、そのスピードに対して組織面の整備が十分に整っていなかった可能性はある」(安部氏)。

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 さらに、自身が理事を務める団体が住民監査請求の対象になったこともあるというNPO法人「ほっとプラス」(埼玉県さいたま市)の藤田孝典代表理事は「監査は行政に対して行われるものだ。コラボも真摯に対応していくことになるだろうが、やはり補助金の出し方、事業委託の出し方についても検証、議論していく必要がある」「担当部局としても今後どういうスキームで事業を支援していくのか、あるいはどこに委託をしていくのかということを考えるきっかけにはなっていくと思う」としながらも、暇空氏側の認識を批判した。

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 「10代に信頼してもらい、丁寧に支援に乗せていくという事業は本当に大変だ。身元特定に繋がり得る情報を明らかにしてしまうことが当事者の不利益になってしまうこともある。一生懸命に取り組んでいるところに“粗探し”みたいな形で会計の弱い点が若干見つかったということ」「デマもそうだし、今回の請求人は監査の目的を履き違えているんじゃないかと見ている部分もある」(藤田氏)。

■あおちゃんぺ「健康診断の結果、“再検査だよ”と言われたようなものではないか」

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 一方で、「BlackDiamond」リーダーのあおちゃんぺは、コラボが出した声明について「一般常識と少しずれているなと思った。健康診断の結果、“再検査だよ”と言われた時、家族に“何ら異常はなかった”と言うかといえば、そんなことはない。“怪しまれているんだぞ”と受け止めなきゃいけないし、支援してくれている人、見守ってくれている人に正しい結果を伝えないといけないのではないか」と問題提起。

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 NPO法人「あなたのいばしょ」の大空幸星理事長は「今回の問題には監査請求の内容やその後の結果に加えて、NPOなど非営利セクターへの支援や評価・評価の仕組みという2つのレイヤーがあると思う。党派性から脱却し、感情論や精神論は脇に置いて問題の本質がどこにあるのかを議論すべきだ」とコメント、次のような見方を示した。

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 「特にコラボがやっているような事業は行政が全く手を付けてこなかったものなので、行政側がいわば“お客様”のように接してしまっていた部分があるんじゃないか。そういう中で、“これくらいは許されるかもしれない、これくらいなら認められて然るべきじゃないか”というような曖昧な判断をしてしまったのではないか。

 また、委託事業費以外の税理士の報酬を委託事業で支出したというのは、僕からするとあり得ない感覚だ。日常の中で“これは管理費で計上だよね”という会話も出るはずだ。もちろん事業の特性上、隠すべき情報は隠さなきゃいけないという思いがあったのは事実だろうが、それを盾にして、ある種“言い訳”のように使ってはいやしないか。領収書の保管は基礎中の基礎だし、監査請求に対しても黒塗りで出せばいいので、都に提出していいはずだ」(大空氏)。

■大空幸星氏「“左派活動家の巣窟”みたいなものが一部にある。上の世代には本当に変わってほしい」

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 大空氏は続ける。

 「そうしたことを考えていくと、やっぱりコラボは体制、代表個人のあり方や考え方について、ここで踏みとどまって見直すことが大事だと思う。今回、暇空茜さんがアクションを起こしたことで都が動いたので、行政の責任もある。同時に、コラボじゃなきゃできない事業も間違いなくあるし、それらが無くなってしまうことは社会にとっての損失であることは間違いない。

 確かに敵や対立軸を作ってやっていくことが必要だった時代もあったかもしれないし、それで勝ち取ってきたものもあったかもしれない。でも、もうそういう時代じゃなくなった。行政は何でやってくれないんだ、みたいな怒りの気持ちが湧いてくることも事実だが、それをそのまま出して戦うようなことはそろそろ終わりにしてもらわないといけない。

 反対意見もあるとは思うけれど、NPO法人の中には、いわゆる“左派活動家の巣窟”みたいなものが一部にあるのは事実だ。上の世代には、国の委員会に出ると“そっちに行ったのか。お前は裏切り者なのか”みたいに言う人たちもいる。

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 僕は今の非営利セクターの中では最も若い世代で、横を見ると誰もいない。これまでだったらNPOを起業している大学生も結構いたが、そういう人材はみんな起業してビジネスセクターに行くようになった。今回のようなことが起きることで、 “公金なんかNPOに出すべきじゃない”みたいな声と向き合わなければならないなら、もうやってられない、というのが正直な気持ちだ。

 でも、ビジネスセクターだけではセーフティネットがない社会になってしまうので、誰かやらなきゃいけない。上の世代には本当に変わってほしい。それが今回の件を受けて、僕が求めることだ」(大空氏)。(『ABEMA Prime』より)

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