昇進させるなら“28歳独身男性 or 36歳時短ワーキングマザー”? 働く親のキャリアの障壁、「マミートラック」を脱出するには
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 「例えば28歳の独身男性と36歳の時短のワーキングマザーと、どちらもマネージャー候補に出た時、今は28歳の男性を選んでしまうと思う」。

【映像】働く親の障壁「マミートラック」とは

 議論を呼んでいるこのツイート。投稿したのは2児の母で株式会社Surpassの取締役を務める青木想氏。産休や育休、時短勤務を行い、結果的に同期の男性と昇進などで差がついた経験を踏まえたもので、キャリアにブランクがある人をどうやって評価するのか問題提起した。

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 Twitter上では、「フル勤務に評価のチャンスが多いのは当たり前」「育休充実と競争力の維持は企業にとっても難しい」「子育てには罰則という評価基準を変えなければ少子化は解決しない」「勤務時間だけが会社への貢献度か?」と、意見が分かれることに。

 少子化が加速し危機的状況にある日本で、仕事と子育ての両立は重要課題。11日の『ABEMA Prime』で青木氏とともに議論した。

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 冒頭のツイートは現在削除されているが、青木氏は「日本企業がこれから経済成長していくために、男女問わずダイバーシティを進めていくことが大事だというのがまず1つ目。女性管理職は今1割くらいしかいないが、私のように20代から子育てをしてきた人もしっかりキャリアを積んでいけるようにしていかないといけない。今の評価制度はフルタイムを前提に作られていて、男性が育休を取りたいとなっても評価できなくなってくるので、そこをどうやって変えていくかを問題提起したかった」と説明。

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 出産や子育てのため産休・育休や時短勤務などを利用中でもこなせるような、負担や責任が軽い職務に就くことを指す「マミートラック」。第1子出産後にマミートラックに入ったと感じた女性の7割が「現在も渦中にいる」と回答しており、青木氏はこれが仕組み上の問題だと主張している。

 「この課題は5、6年以上前から、女性が働くのが当たり前になった時から言われている。充実した育休制度の弊害の部分が実はあって、日本はまだまだ女性が子育てをしなくてはいけなかったり、長い育休を取れたことで逆にキャリアに二の足を踏んでしまうことがある。いよいよここを解決していかないといけないというタイミングだ。あとは子育て期間をブランクにしないこと。つまり、育休や子育てを経て時短で復職した女性に、全然違うキャリアを積んでもらうような仕組みも大事かなと思っている」

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 フリーアナウンサーの吉川美代子氏は「子育てが終わってまた働き始めた時、60歳で定年だと復帰してからの時間が短いけれども、定年が長くなって“もっと働いていい”となると、子育てを終わってから慌てずにスタートできる」との見方を示す。

 青木氏は「特に女性はホルモンバランスの影響もあって、管理職になる40代、50代になると更年期障害などが出てくる。責任のある仕事を担っていきたくても、身体の状態がついてこない。じゃあ管理職やリーダーになるのが60代なのかというと、それでもいいと思う。それで活躍の道が開けるのであれば、企業に対して価値を提供していけるかたちになるのではないか」と述べた。

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「こういう話になると、反フェミニズムの人がたくさん増えてきて、偉そうに『女性は家にいればいいんだ』みたいなことを言うわけだ。そうではなくて、多様性は会社の成長のために必要で、女性を尊重するためだけのものではないんだよ、という前提をもっと認識すべきだと思う」と投げかける。

 これに青木氏は「おっしゃるとおり。先ほどの28歳男性と36歳女性の話で、同じスキルだった場合、36歳の女性は時短の中で工夫しながらスキルを身に付けてきていて、業務を変えたり効率化していけたりする秘策を持っている可能性がある。それを組織の中に浸透していけば、本当に負荷が寄ってしまっている男性管理職の負担を減らせたり、それこそ企業のデジタルトランスフォーメーションが進んでいったりする。ダイバーシティは誰かを優遇することではなく、誰も取り残さないということなので、男女の議論にしないのはすごく大事だ」と賛同した。

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 実業家のハヤカワ五味氏は「この議論が“個人の幸せ”みたいな話になるとややこしい。なぜなら、ある程度仕事ができる女性は、会社をめちゃくちゃ選んでいる。自分が出産した時にキャリアを積み続けられるかを踏まえ、いろんな人に話を聞いているから、行く場所が偏っている。大体外資だったり、ある程度大きくて若い役員が多いような会社だ。結局、これだけ人材不足の中でも流出しているということに対して危機感を持てるのか、という会社側の課題・問題でもあると思う」と指摘した。

 「昭和的評価法からの転換」が青木氏の考えだ。「どう評価していくかはすごく大事。成果、ジョブディスクリプションを明確にして、どういうスキルがこの仕事に必要で、そのスキルを満たしているから時間に関係なく昇進の対象になる、というようなかたちを作る。やはり女性はなかなか転勤できないので、リモートワークをうまく活用して評価ができる環境を作っていくことが大事だ。良いタイミングとして今年の4月から上場企業4000社に対して、女性管理職や男性育休の比率を開示していく動きが出てきた。非財務(情報開示)をきっかけにして、1つでも良い事例を作れる企業を増やしていくことが必要だと思う」とした。(『ABEMA Prime』より)
 

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