絞首刑は残虐?日本の死刑執行のあり方にネット賛否両論 専門家「残虐な刑罰ではないのかを議論をする時期に来ている」
2021年に死刑執行した国一覧
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 2022年11月、死刑での絞首刑差し止めなどを国に求め提訴したのは、大阪拘置所に10年以上収容されている、死刑囚3人。

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 訴状などによると、原告らは絞首刑は実験などから、刑によって受刑者の体が損壊するなど、残虐で非人道的な結果になる可能性があるとして「国際人権規約に違反している」と主張したのだ。

 ネットでは、賛否両論の声が上がっている。

「遺族からしたら絞首刑なんて納得いかないくらいじゃないかな」
「死刑になったのには理由があるじゃん…殺された人の方が不憫でならないよ…」
「他にも薬殺等色々あるから、議論の余地はある」

 では、絞首刑以外の刑は残虐ではないのだろうか。

 2021年4月、アメリカ・ネバダ州である死刑囚が薬物注射による死刑執行は、痛みや苦しみが引き起こされる可能性があり、残酷な刑罰を禁じた合衆国憲法に反すると主張。

 銃殺刑による処刑を望む文書を裁判所に提出し、物議を醸した。EU(ヨーロッパ連合)の加盟条件になるなど、死刑廃止が進む国際社会。

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 2021年時点で、144の国が事実上の死刑廃止国となっている。日本を含む55の国では未だ死刑制度が残ったままですが、OECDの加盟国を見てもアメリカは半数近くの州で廃止され、韓国も1997年を最後に執行されておらず、事実上の廃止国に。

 日本では、内閣府の行った調査で回答した国民の約8割が「死刑もやむを得ない」と回答。現在106人の確定死刑囚が存在している。果たして絞首刑は残虐な刑なのか。

 このニュースを受けて、ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演した刑事政策や犯罪学を専門としている立正大学法学部教授の丸山泰弘氏に話を聞いた。

――日本の死刑の問題点について

「拘置所の3名も言っているように、深い議論がまだ実はされてないんじゃないかっていうのがあって、死刑に関わるものっていうのが重大事件に関わるものが多いので、重大事件は皆さん感情的に見てしまうので、過烈な意見が出てきがちだが、そもそもその制度はなんなのかって、もう少し1歩引いて、それに至る運用もどうなのかっていうのをちゃんと見た方がいいなとは思っている」

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――OECD加盟国で死刑制度が残るのは、アメリカの一部と日本。この現状をどう見ていけばいいか

「いわゆる先進国のアメリカと日本だが、アメリカも実は50州の全部が 死刑を賛成しているわけではなくて、具体的な数を言うと、50州のうち23州とワシントンDCは廃止して いる。それで、法律上残っていて判決が出ても執行しないというところもある。これを事実上廃止州という。国でやってると事実上廃止国っていわれる。韓国も事実上廃止国で、法律もあって判決も出るが、実際には執行してない。10年以上執行してない国のことを事実上廃止国と呼んでいて。アメリカの中でも、いろんな州がもう廃止の方に向けて動き出しているというのが現状」

――アムスティ・インターナショナル日本の調査によると、2021年に死刑者は、アメリカでは11人。日本では3人だったが、2つの国の違いについてはどう見ているか

「執行方法も違うが、刑事司法手続き(も違う)。実際どうやってるのか、完全にブラックボックスになっている日本。アメリカは、死刑を維持するためにどうするかについて、国民や最高裁も巻き込んで、いろんな議論をしていく。執行方法や捜査、裁判のやり方など、いろんな制度を整え維持してるというのが、アメリカの印象」

――全体的な世論とか市民の意識として、日本は他の国と比べると、死刑に対して肯定的な傾向はあるか

「エビデンスもなくて、僕の思い込みに近いが、昔から物語とか子供が読むものって、完全懲悪というか。実は太郎とか、悪いことした人は成敗していいとか、リベンジが美化されたりとか、そういうものを結構好きな国民性があるんではないかな、というふうには思っている」

――国民が理解を深めるために、死刑制度を知る方法は公開されているのか

「基本的にはそんなに開示しているようには思えなくて。というのも、法務大臣が毎回所信表明とかされるときに、『死刑についてどう考えますか』というコメントを入れるところがあるが、そのときは大体『まだ時期尚早だ。85%も賛成者がいるので、そこまでまだ議論することではない』と言っちゃう。少なくとも迷う人がいるわけだから、実際議論していくべきだと思っている」

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――現状日本では、絞首刑という方法が70年以上維持されていることについて

「70年前の鑑定では、絞首刑でどういう死に方に至るかを鑑定した結果、首の後ろにある椎骨が、圧迫を受けるともう痛みを届けないし、瞬時にして意識を失うので、残虐な刑罰ではないと当時はこういうふうに言ってた。しかし、70年も経っていると、 実は椎骨の部分が折れるだけではなくて、いろんな亡くなり方があるんではないかってのが、どんどん判明してきている。そうなると、当時のままで特に調べないで維持しているというよりは、どんな死に至るのか、それが本当に無痛なのか、残虐な刑罰ではないのかということを、議論をするっていう時期には来ているんだなとは思っている」

――日本で今、一番着手しなくてはいけないことっていうのは、何だと考えているか

「とりあえず事件が起きたときに、皆さんがその事件に注目すること。その犯罪をやったこと、その背景とかをちゃんと見る。それによってじゃあどういう刑罰がピッタリなのかってことを考える。多分、皆さんが他人事とかどっかで起きたなんかの事件じゃなくて、 『そういうことでこれが起きたのか』『この人にはこういうふうな刑罰がいるだろうな』というのを、みんなが考えた方がいいとは思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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