“ホワイト企業”に若手社員が不安を感じている。そんな調査結果が発表され、話題となっている。
【映像】20代 約2割が「叱られたい」!? 若手社員の“不安”
1月16日、キャリアや転職に関する調査を行う「Job総研」が発表した「2023年働く環境の実態調査」によると、全体の34.2%が「職場環境がゆるすぎる企業に勤めた経験がある」と回答した。「ゆるすぎて転職をした経験があるか」という問いでは、そのうちの約半数となる48.9%が「ある」と回答。年代別では、20代の65.4%が「転職した」と答えた。
ゆるすぎる職場には「業務量が極端に少なくて暇な時間が多く、自身の成長スピードに不安を感じた」「目標管理などが特にされていないので、基本的に業務への評価をされない」などの意見が寄せられている。
2013年には、ユーキャン新語・流行語大賞のトップ10に入るなど、社会問題となっていた“ブラック企業”の存在。しかし、2019年には働き方改革関連法、そして2020年にはいわゆる“パワハラ防止法”が施行されるなど、若者を取り巻く労働環境は年々改善しつつある。
“ゆるい職場”を作ることは、決して悪いことではないと思えるものの、こうした環境に不安を抱く人がいるのもまた事実。調査を行った株式会社ライボ「Job総研」室長の堀雅一氏は、この結果の背景として、新型コロナの影響による“働く環境の変化”を挙げる。
「リモートワークによるオンラインコミュニケーション、“飲み会参加なし”や、“残業なし”が当たり前になって、働く環境へのストレスは大分減った。働く環境に対してストレスが少ないことから、自身の成長スピードや将来に漠然とした不安感を抱きやすい心理を作り上げているのではないか」(堀氏、以下同)
また、不安を募らせる要因の一つとなっているのが、上司から叱られたことがある経験の少なさ。Job総研による別のアンケートでは、20代の約75%が「上司から熱量高く叱られた経験がない」と回答。さらに、23.8%が「叱られたい」と回答した。
「あらゆる企業がホワイト化する中で、就職するときにそれが当たり前の環境になった20代前半組は、叱られるという経験が少ない。自分の将来を考えたときに『このままで良いのか』という考えに至っているのではないか。『転職をして、もう少し厳しい所に身を置いてみよう』という考えの人も一定数いると思われる」
一方、リモートワークが中心になったことで、上司も部下のマネジメントに頭を抱えているという。
「上司からすると、部下のマネジメントの難しさというのは顕著になっている。残業が発生しない程度の業務量を渡す、進捗状況を把握するなど、“ハラスメント扱いされない”ことに気を配りすぎて、業務量が甘くなったり、業務に対するフィードバックが甘くなってしまう」
今後、企業や上司たちはどうすればいいのか。堀氏は、「誰もが居心地良く過ごせる職場はない」とした上で、重要なのは「社員一人ひとりがアクションを起こしていくことだ」と話した。
「自分が属している環境で『この会社ブラックだな』『ゆるすぎるな』といって、何もせずにその環境を受け入れるのではなく、“社員みんなで環境を作り上げる”という動きを具体的にしていくことが重要だ。その企業独自の雰囲気や企業文化を作り上げていくことが、結果的に理想的な環境の醸成につながっていく」
(『ABEMAヒルズ』より)
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