「料金箱ごと…」野菜の無料販売所で持ち逃げ続出も…なぜ性善説で商売を? 運営者の思い
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 入店からお会計まで、すべてセルフサービスで行う無人販売所。今では街の至るところにあるが、全国でトラブルが続出している。

【映像】野菜の「無人販売所」持ち去りの瞬間

 実際に野菜の無人販売所を運営している益子しげ美さんは「良心をみんな持っていると思っていたが、ちょっとがっかりしていた」と話す。

 知り合いの農家を手伝い、茨城で野菜の無人販売所を運営している益子さん。性善説を信じ、新鮮な野菜を100円から販売している。

 ある日、買いに来た女性が手に取ったのは、カボチャ300円と100円のナス。合計400円のはずが、料金箱に投入した金額は100円玉と50円玉2枚の200円だけ。

 すぐさま女性を追いかけた益子さんが「すみません。カボチャは300円ですが、入れましたか」と聞くと、女性は「入れたと……あ、入れなかったかな。ごめんごめん」と回答。

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 指摘され、女性は400円支払っていったものの、益子さんの悩みは尽きない。

別の女性は、トマトやカボチャなど2800円分の商品を買ったものの、料金箱には目もくれず、持ち去ろうとしていた。

 本当に払い忘れただけかもしれないが、多いときで月に1万円の被害があるという。

 野菜販売だけではない。他にも古着店やラーメン店の無人販売所などで盗難被害が相次いでいる。

 当然盗む人が悪いのだが、ネットには「性善説を信じるからこうなる」「店に誰もいなければそりゃ出来心も湧く」「店員の人件費は抑えているが、警察の人件費(税金)を使っている」などの声もある。

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 はたして人間の本性はどちらなのか。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した益子さんは「最初のうちはそうでもなかった」と話す。

「1〜2年を過ぎた頃に『これは持っていかないだろう』と思って、料金箱として、キャンディやクッキーが入っていたような箱をポンと置いた。持ち運びできる小さいものだった。一度これごと持っていかれて、もう1回同じようなものを用意して置いたら、また何カ月か後に持っていかれた。農家さんのお金なので『これはいけない』と思って、今は工具箱をボルトで直売所の木材に留めて、料金箱にしている。料金箱は持っていかれなくなったが、野菜が持っていかれるようになった」

 野菜を持ち逃げする人たちを、どのような思いで見ているのか。

「全くいないとは思っていなかった。農家さんとも話したが『全部盗られるのはないでしょ』となって、無人販売が始まった。当初、100円、200円足りないときは『4つ5つ買って行った人が計算間違いをしたのかな』と思っていた。ある時、1カ月で1万円弱足りないときがあって、これはどう考えても故意に持っていったと思った」

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 無人販売所のトラブルは各地で起きているが、実際に野菜を持ち逃げした人と話してどのように感じたのか。

「そもそも野菜自体が規格外だ。売れないものを売ることに農家さんはすごく抵抗があって、約2年かけて説得して無人販売を初めた。誰が作っているのか、生産者の顔も見られるようにしている。ほとんど農薬も使っていないので安心して食べられるし、消費者の方々が『形が悪くてもおいしい』と言ってくれた。時々『今日は100円足りなかったので明日支払いにきます』とメモ書きが金庫の中にあったり、『いつもおいしい野菜をありがとう』と書かれたお手紙が入っていたりする。料金が多いときもある」

 別のお客さんが持ち逃げ犯を見つけて、注意してくれたケースもあったという。

「私が販売所にいないとき、常連のお客様が『あなたこの前の泥棒でしょ』と注意してくださったことがあった。『あなたに食べさせる野菜はない。食べられる野菜がかわいそうだ。だからお金を払うんだったら持って行きなさい。払わないんだったら全部置いていきなさい』と言ってくれた。昨年の話だが、その後は1000円以上の盗難はない」

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 一方で、過去のトラブル経験から性善説から性悪説に考えを変えた人もいる。

 居酒屋店主の黒かどや氏は「初めて来るお客さんは『悪い人かもしれない』と思って壁を作って警戒している。何度も騙されているので、もう信用しない」と話す。

 ドタキャンを想定して、黒かどや氏の店では予約禁止。無人販売所なんてもってのほかだ。

「僕はお酒を飲むお客さんを相手にしている。酔っぱらって店員に暴力を振るわれたり、予約をドタキャンされたりして『性善説で商売していたらやっていけない』と思った。最初に入ってきて『ちょっと普通じゃないな』と思った人には『満席です』と嘘をついて断ってしまう」

 お客さんは「リピーターが多い」といい、「店の雰囲気がよくて、気に入ってくれるお客さんが残ってくれている」という。中には、つけ払いができる店もあるが、そういう店をどう思っているのか。

「昔、つけで踏み倒されたこともある。それはすごく信用していた人だったから、人間不信になった。人を信用しちゃダメだと思っている」

(「ABEMA Prime」より)

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