頼れる師匠はやっぱり強かった。8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の予選Bリーグ2位決定戦が1月21日に放送され、チーム木村が3-1でチーム杉本を破り、悲願の予選突破を決めた。
前回大会で予選敗退を喫したチーム木村の木村一基九段（49）、高野智史六段（29）師弟にとっては、本戦進出が第一目標。予選Bリーグ1位突破を逃しただけに、この一戦は「絶対に負けられない戦い」だった。第1局は、高野六段対藤井聡太竜王（王位、叡王、王将、棋聖、20）の弟子対決に。藤井竜王は、先手番で得意の角換わりに持ち込むと一気にリードを奪われ111手で快勝。「積極性を出していったのが良い方向に行った」と笑顔を見せ、師匠の杉本昌隆八段（54）は小さくガッツポーズを見せた。
次戦は、チームの黒星発進に火がついた木村九段が登板。杉本八段との師匠対決に、控室の高野六段は「木村一基の四間飛車破り、お願いします！」とエールを送っていた。杉本八段が優勢に立ち指し進めていたものの、木村九段が終盤で逆転。最後は詰みに討ち取り、まずは1-1とタイに並んで見せた。続く第3局は、タイトル戦でも激突した藤井竜王と木村九段が対戦した。藤井竜王の中盤のミスを見逃さず、木村九段が確実に勝利に繋げて118手で勝利。2連勝で決勝進出に王手をかけた。
第4局は「ここで決めます！」と高野六段が出立。杉本八段との激戦に、控室の木村九段からは「助かってくれ！頼む！神様！」と必死の“神頼み”が飛び出す場面もあった。その甲斐あってか、高野六段は最後まで冷静な指し回しを見せ、109手で勝利。見事予選突破を決めた。
師弟の二人三脚で決めた悲願の本戦進出。木村九段が「信頼に応えてくれた」と弟子を労えば、高野六段は「（師匠は）頼もしかったです！すごかったです」と瞳を輝かせる。このコンビネーションと絆こそが予選突破の要因だったことを視聴者に見せつけた瞬間だった。次に目指すは“最強師弟”の座。チーム木村のこの勢いを止めることは、誰にもできない。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
