「犯罪者と同じにしないで」“トランス女性”投稿が物議に…銭湯やトイレはどう対応すべき? 当事者に聞く
【映像】TERF論争も...“トランス女性”投稿が物議に
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 トランスジェンダーの入浴施設や公共トイレの利用をめぐって、こんな意見が物議を醸している。

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「相手がどんな心の性であっても、会話してコミュニケーションを取れるわけでもない公共の施設で、身体が男性の方に入って来られたら、とても警戒してしまうし、それだけで恐怖心を抱いてしまうと思います」(女優・橋本愛さんのInstagramより ※一部抜粋)

 言葉を選びながら、自身のSNSで考えを述べたが、この投稿に対し「トランスジェンダー差別」といった批判が噴出。後日、橋本さんは謝罪した。

 一方で、この意見に共感する人も多く「差別ではない」と擁護の声もあがっている。Twitterでも「#橋本愛さんに連帯します」がトレンド入りし、賛否の声が寄せられた。浴場、トイレ、更衣室など、様々な場面でトランスジェンダーの女性を一般の女性と同じように扱うことに否定的なフェミニストを指すTERF(ターフ)という言葉も話題を集めた。

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 多様性の時代にトランスジェンダーの権利はどこまで認められるべきなのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、当事者と共に考えた。

 NPO法人「MixRainbow」理事長のみのりさんは、ホルモン治療を経て精巣摘出後、2018年12月に改名したトランスジェンダーだ。みのりさんは「橋本愛さんのように不安を持つ人がいるのは、当然だと思う」と話す。

「お互いに理解し合えているかどうかが大事だと思う。自分が女性のお風呂に入っているとき、やっぱり男性器が付いた人が入って来るのは、私も嫌だ」

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 LGBTQなどの社会的マイノリティーに関する案件を多く扱う、弁護士の仲岡しゅん氏は「男性器のある人が女湯に入るのは建造物侵入だ」と話す。

「例えば男性が『心は女だ』と言って女湯に入ったらどうなるか。追い出されるし、逮捕される。この制度は今後も変わらない。お手洗いの場合は、単に女装しているだけの男性がいれば、通報していい」

 仲岡さんは「橋本さんの意見についてはもっともだ」とした上で「何か世界が変わろうとしているかのような認識は間違いだ」と述べる。

「最近、陰謀論的なものが出回っているが、LGBT法案が成立すると『今日から俺は女』と言って、男が女風呂に入ってくるといったことはない。そのあたりに勘違いがあると思う。LGBT法案はそのような法律ではない」

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 男性として生まれたみのりさんが「女性として生きていきたい」と思い始めたのは、いつだったのか。みのりさんは「自分が子どもの頃から何者なのか分かっていなかった」と話す。

「私は昭和の時代の人間なので、当時はもちろんLGBTという言葉すらなかった。子どもの時代から隠し通すべきものだと思って、ずっと生きてきた。男性として生きざるを得なかったが、離婚を契機に、その頃になるとLGBTという言葉も出てきて、自分のことが分かり始めていた。『自分らしく生きよう』と思って、親しい人から事前にカミングアウトする形で時間をかけながら進めた」

 長年どのような葛藤があったのか。

「ずっと男性用トイレを使っていた。あるとき、病院の男性用トイレで立ち小便をしていると、ご高齢の方が、私の顔と陰部を交互に見ながら、しまいには覗き込んできた。お手洗いで手を洗っていると、入って来た男性が慌てて出て行くことも毎回のように起きた。『私は男性用トイレを使うのはよくないんだ』と思うようになって、多目的トイレも使ってみた。そうすると、今度は自分が使った後に車椅子の方が待っていた。車椅子が入れる多目的トイレは数も少ないから、そこでも『私がここを使うのはよくない』と思った。その後、ようやく女子トイレを使うようになった。本当に年単位の時間がかかっている」

 みのりさんは、LGBT当事者に向けた貸切入浴イベント「虹色銭湯」を2011年、2022年11月に2度開催した。イベントには約20人が集まったという。イベントを開催するに至った経緯について、みのりさんは「実際にトランスジェンダーは移行中の人のほうが圧倒的に多い」と話す。

「メディアに出てくる人は、手術が終わって移行した人たちが多い。たくさんいる移行中の人たちが迷いながら、いろいろやっていることを分かっていただきたい。私も甘んじて受け入れながら過ごしてきた。移行中で悩む人たちに、広いお風呂でゆっくりする経験をしていただきたい。そういう気持ちでイベントを開催した」

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 イベントは休日の銭湯を貸し切って行ったが「それでもネットでは否定的な声がたくさん上がってきた」とみのりさんは話す。

「『私が入っているところに入らないでくれ』という声があった。だから、お互いがどこまで理解できるかが本当に大事だ。お互いが相手の立場に立って、どう思うのか考えていければ、いい方向になると思う。当事者に会った経験がない人も多い。LGBTの人たちと会って話をすると『よく分かった』『考え方が変わった』と言ってくださる人がけっこう多い。ぜひ実際に話してみて、いろいろな疑問をぶつけてみていただいたらいいと思う」

 もし性別を移行中の人に出会ったら、どう接するのが一番いいのか。みのりさんは「特別扱いは要らない。ただ、日常生活を普通に過ごせればいいんです」と答える。

「例えば男性が今『女性になりたい』と思ったら、明日からすぐなれるわけではない。日本の法律的には無理な話だ。犯罪者と私たちをごちゃまぜにして話さないでほしい。そこを混ぜて、私たちトランスジェンダーが犯罪者であるように言われるのは、ちょっとつらい」

(「ABEMA Prime」より)

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