目標地点まで、いよいよあと一歩だ。8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の準決勝第2試合が2月4日に放送され、チーム木村の木村一基九段(49)と高野智史六段(29)がチーム谷川を3-1で破り、念願の決勝進出を決めた。
前年はまさかの予選敗退。「負けるのはしゃくに触るからね」と語った木村九段にとっては、この準決勝勝利も通過点のひとつに過ぎない。すべては弟子との優勝のためだ。木村九段は先陣を切ったが、第1局は都成竜馬七段(33)の三間飛車との対抗形の一局を押し切られ、黒星発進となった。師匠の強い気持ちは、隣に立つ高野六段にも手に取るように伝わっている。木村九段の思いを背負い、第2局の谷川浩司十七世名人(60)戦へと向かった。将棋界のレジェンドとの一局は序盤でリードを奪われるも、気持ちを切らさずに長期戦へと持ち込み師匠譲りの受け将棋で120手で勝利。すぐに1-1に追いついて見せた。
続く第3局も高野六段が連投。都成七段との弟子対決は、意地と意地のぶつかり合いから千日手が成立した。指し直し局は都成七段の先手番で開始。相掛かりの出だしから大熱戦へと発展し、最後は打ち歩詰めの局面に誘導した高野六段が134手で白星を奪った。
第4局は谷川十七世名人と木村九段による師匠対決に。弟子が連勝で渡してくれた本局で何としてでも決勝進出を決めるべく、木村九段は強い闘志をみなぎらせて対局場へと向かった。先手の谷川十七世名人の雁木に木村九段は矢倉を志向。雁木ながら強気の攻めを繰り出した谷川十七世名人を、受けの名手・木村九段が立ち向かった。互いに気持ちがこもった大熱戦となったが、谷川十七世名人は角上がりから構想乱れたか後手ペースに。木村九段が一気にリードを切り開き74手で勝利を飾った。
この結果、チーム木村が3-1で勝利。終わってみれば圧巻の3連勝での決勝進出だった。木村九段は「とても嬉しいです。今日は苦しい場面が多かったので疲れました。ただ、高野くんも悪くなってからの辛抱も良くて、大変頼もしく感じました。強くなった部分もあるのかなと感じましたね」とホッとした表情を浮かべた。いよいよ“最強師弟の座”は目前。高野六段は「ここまで来たら、ぜひ優勝をつかみ取りたいです」と闘志をみなぎらせていた。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)