将棋の棋王戦コナミグループ杯五番勝負が2月5日、長野県長野市の「長野ホテル犀北館」で第1局が行われ、挑戦者の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が渡辺明棋王(名人、38)を125手で破り、シリーズ先勝を飾った。11連覇を狙う渡辺棋王と、棋王初挑戦・奪取で年度内六冠獲得を目指す藤井竜王による注目の五番勝負。第2局は2月18日、石川県金沢市の「北國新聞会館」で行われる。
藤井竜王が、現在進行中のALSOK杯王将戦七番勝負と並行して開幕した棋王戦五番勝負で、幸先の良い先勝を飾った。10連覇中の渡辺棋王に、史上最年少六冠獲得を目指す藤井竜王が挑戦する注目のシリーズ。振り駒の結果、藤井竜王の先手番で「角換わり」の出だしとなった。藤井竜王の得意戦型を見越してか、後手の渡辺棋王が仕掛けてしばらく下火となっていた形へと誘導。速いスピードで進行して一気に中盤へと突入するも、昼食休憩時点での渡辺棋王の消費時間はわずか21分だった。
緊張感漂う中盤戦では、渡辺棋王も1時間を超える長考に沈む場面も。読み合いから攻めのターンが巡ってきた藤井竜王が勢いよく攻め込み、ペースを握った。深い前傾姿勢で盤上をのぞき込む藤井竜王は、後手陣を広く包み込むように攻撃を展開。手にした桂香で後手玉に迫り、包囲網をさらに狭めていった。
最終盤では、自玉の安全を見切った藤井竜王が守備駒だった金も加勢。全軍を動員させてリードを拡大させた。一時は持ち時間で1時間以上上回っていた渡辺棋王だったが、気付けば時間差も逆転。劣勢に追い込まれた渡辺棋王は馬切りから必死に勝負手を繰り出し、単騎で入玉を図ったが、藤井竜王が冷静な対応で追い込み勝利。終わってみれば、勝利への美しい「藤井曲線」を描く快勝で、10連覇中の渡辺棋王から先勝を奪った。
終局後、藤井竜王は「盤面全体で戦いが起こってどういう方針で指すのか、一局を通して難しかったと思います」、渡辺棋王は「勝負所がどこだったのかよくわからなかったです。あったとしたらすごく狭い範囲だたと思う。そこがサッと過ぎてしまったような将棋になってしまった」と振り返った。
この結果、シリーズは挑戦者の藤井竜王が先勝を飾って1-0に。本五番勝負で奪取に成功した場合、史上最年少の六冠王が誕生するとあり、一局一局の勝敗に大注目が集まっている。
次局は約2週間後の18日、石川県金沢市の「北國新聞会館」での開催が予定されているが、藤井竜王はその間に防衛戦の王将戦七番勝負第4局(2月9・10日、東京都立川市「SORANO HOTEL」)が待ち構える。挑戦者の羽生善治九段(52)を相手に2勝1敗で一歩リードしているものの、気の休まる時間はない。
渡辺棋王がこのまま独走を許す訳もなく、先手番となる第2局ではすぐにタイに追いつくべく作戦を準備していることは必至。ダブルタイトル戦はもちろん、さらには名人初挑戦がかかる順位戦A級のリーグ戦も大詰めを迎えているとあり、両者の動向から目が離せない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)