「父親と娘がお風呂を分ける年齢は、いつが適切だと思うか?」
この投稿には同じ親世代から300件近くのリプライが寄せられ、「小学校に上がったらもうやめた」「娘さんが嫌と言い始めたらでいいのでは?」などの意見が相次いだ。
実際に投稿した2人の娘(長女8歳、次女4歳)の父親・くりさんはこう話す。
「今までなんとなく何も考えずに、8歳と4歳の娘と3人でお風呂に入っていた。そろそろ、分ける時期を考えた方がいいと思って、家族で話し合ったところ『3年生になったら分ける』という結論に至った。親側のエゴだが、性的な成熟に伴って嫌悪感を持つ前に分けたいと思った」
一方で、長女は「妹とは一緒に入るのに、なぜ私だけ分けるのか」と最初は理解ができなかったという。
「僕からは『一人で体も洗えるようになったでしょ。もうお姉さんでしょ』『そのうち君も体が変わっていって、パパとお風呂に入るのが恥ずかしくなる日が来る』と話した。寂しがりながら納得してもらった」
制度アナリストの宇佐美典也氏は「僕も娘が2人いる。まだ小さいので子どもをお風呂に入れるのも家事のうちになっている」と話す。
「次女はお風呂を嫌がるが、長女が『入る』というと、次女もしょうがなく入ってくれる。そういうところで助かっている。ただ、そもそも異性の子どもと一緒に入るのは、日本独自の文化。海外の人に言うと驚かれる。同じアジア圏でも、特に中国の人は『信じられない』と反応する。一緒に入るのが当たり前ではなく、むしろ日本が特殊だ」
助産師・思春期保健相談士の田中まゆ氏は「第二次性徴で子どもの体が変わっていく前、9歳から10歳ぐらいで分けてあげるといいと思う。親だったとしても嫌な気持ちを抱えるケースもある。子どもの体が変化する前に線引きをしてあげてほしい」と述べる。
一方で、「高校の卒業間近、18歳まで父親とお風呂に入っていた」と話すのは、かずみさん(30代)だ。お互い恥ずかしさはなかったのだろうか。
「父親はどう思っていたのか分からないが、小さい頃から裸は見慣れている。お風呂では、潜り合いっこをしたり、背中を流しあいっこしたり、普段の生活や恋人、性のことなど包み隠さず話していた。その時々の立場に合わせて話をよく聞いてくれる父親だった」
高校生になっても一緒に入ることについて、どう思っていたのか。
「周りからは『え、まだ入っているの?』と言われた。一緒に入った方が楽しいし、いろいろ相談もできる。自分が特別だと思ったことはない。父親に対する嫌悪感や抵抗感もなく、むしろ尊敬の目で見ることが多かった。そういう意味でも、私の中ではかなり濃いコミュニケーションの場所だった」
高校に上がる直前、自身が同性愛者と気づいたかずみさん。それをきっかけに父親と入る回数は減っていったが、お風呂ではLGBTに関わる会話もしていたという。
「父親に『実は、何人か男性と付き合ってみたんだけどうまくいかなくて、初めて女性を好きになって、お付き合いすることになった』と言った。男性には感じなかったドキドキ感もあって、父親からは『お前が大切に思う人なのであれば、お父さんは何も言わない。よかったら家に連れてきたらいい』と言ってくれた」
かずみさんにとってターニングポイントの一つとなった父親とのお風呂タイム。田中氏は「お風呂は子どもの性教育のチャンスだ」と話す。
「現状、なかなか性教育が日本で進んでいない。親からアプローチができるならいいが、やっぱり子どもから聞いてくれたときに答えるのが一番やりやすい。お風呂で男女や子どもと大人の身体の違いを視覚的に見て、質問しやすい場だ。性教育の切り口になりやすい」
(「ABEMA Prime」より)
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