雨宮副総裁は“カメレオン”のような人? 日本人の給料・物価・住宅ローンに関わる日銀総裁人事 2月中に提示へ
【映像】総裁人事で我々の暮らしは一変する?
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 4月で2期目の任期を終える日銀の黒田総裁。その後任候補が、2月中にも国会に提示される見通しだ。

【映像】日銀総裁人事で我々の暮らしが一変する?

 次期総裁への打診があったと一部で報道されたのは日銀の雨宮副総裁。

 この後任人事をめぐる報道を受け、大規模金融緩和策が続くとの見方が広がり、6日、円相場は一時4円以上値下がりした。

 後任が決まる前から市場が反応、物価・給料・住宅ローンなど我々の暮らしにもダイレクトに影響する日銀の総裁人事。

 ここでは、その影響力と“ポスト黒田”として有力視されている雨宮副総裁について「我々の生活への影響」という観点で経済アナリストの森永康平氏と元日銀・財務省担当記者で雨宮副総裁にも取材した経験がある外山薫氏に話を聞いた。

「株や為替取引をやってないと『日銀総裁なんて誰でもいい』と考えがちですが、金融政策によって金利が上がれば住宅ローンを変動金利で借りている人は毎月の支払いが上がります。また、為替市場も動くので、海外旅行に行きやすくなったり、行きにくくなったり。円安が過度に進めば、輸入するものの価格が上がったり…。誰になっても関係ないということはありません。注意してみるべきです」(森永氏)

――現在の黒田総裁の取り組みはどうか?

「できることは全てやったと思います。ただ、次期総裁が金融政策をどうするか、ポイントになるのは物価です。現在、物価は4%上がっており、『物価2%上昇をターゲットにしていたのにまだ緩和しているのはおかしい』という声もありますが、物価は新型コロナウイルスウクライナ侵攻の影響で上がっているのです。つまり元々日銀が目指していた『給与が上がって需要が増えて、物価が押し上げられる』という形ではないのです。最新のデータでは、食料とエネルギーを除くと前年比で物価上昇は2%に届いていません。そのため、個人的には次期総裁も黒田総裁の金融政策を維持する形でいいのではないかと考えています」(森永氏)

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――肝心の国民の賃金が上がっていないことも気になるが。

「物価が上がって賃金が上がらないと厳しいですよね。今年4月の春闘も注目すべきです」(外山氏)

――ユニクロやメガバンクが給与を上げるなど、いい風が吹いているようだが。

「風は吹き始めています。とはいえ、日本の労働者の7割が中小企業に勤めています。今、賃金が上がっているのはグローバル企業・メガバンクのような一部だけ。日本国民全体の給与が上がる理想とほど遠いのです。とはいえ、これは黒田総裁のせいではなく、政府の責任です」(森永氏)

「そこまで日銀が背負うのは厳しいですよね。政府と民間にボールが投げられています」(外山氏)

――「総裁の色」は我々の暮らしにどの程度反映されるのか?

「総裁一人でかなり変わります。これまでの総裁には前総裁の真逆の政策を行なった人もいるのです。例えば、次の総裁が現在の金融緩和を解除するとローンが上がったり円高が極端に進んだりします」(森永氏)

――有力候補である雨宮副総裁とはどのような人物なのか?

エリートである企画局畑の『ミスター日銀』です。20年以上前から総裁候補でした。日銀イチのアイデアマンで『黒田バズーカ』など異次元金融緩和も発案しました。クラシック音楽大好きで家族には音楽家もいるという話です」(外山氏)

「よくカメレオンのような人、と言われます。対峙する人に合わせて柔軟に変化していく。対話の観点からすると『良い人』でしょう。とはいえ『読めない人』とも言えます。『副総裁だから黒田路線を踏襲するだろう』とマーケットは思っていますが 黒田総裁が前にいるから保護色を選択している可能性もあります。自分が総裁になったら気づかれないように、政策を徐々に変えていく可能性はあります」(森永氏)

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――雨宮副総裁の経済に対する根っこの考え方は黒田総裁と異なる可能性はある?

「ありえます。前提として、総裁と2人の副総裁が割れるというのは基本的にあってはいけません。基本は総裁の意見に合わせる構造で『ルールとしてそうなっている』雰囲気すらあります。とはいえ、実際に胸の内が全く一緒かと言うとそんなことはないと思います」(森永氏)

「雨宮副総裁には日銀マンとしての矜持があると思います。それと政府が求めるものと柔軟にバランスをとりながら進めていくのではないでしょうか」(外山氏)

――黒田総裁は安倍元総理と密に連絡を取り合う姿勢だったが、政府との「適切な距離感」とは?

「近すぎると独立性の観点で叩かれてしまいますが、政府と中央銀行が同じ方向で進めていかないと意味がないのです。例えば、黒田総裁が金融緩和を行なっても政府が金融を引き締めていたら効果が出ません」(森永氏)

――岸田総理との足並みは揃っているのか。

「岸田総理は増税したいという方向なので少しずれているかもしれません。新しい総裁が『俺たちがアクセル踏むんだからあなたたちにも踏んでいただきたい』と諭してくれるような方であれば、日本経済にも復活の芽があります」(森永氏)

――2月中に総裁が、ということですが具体的にはいつ決まる?

「元々は2月10日と提示されていましたが、まだ発表されていません。我々も待っている状況です。我々の給与・物価にも直結する大事な人事です。ぜひ、注目して見守ってください」(外山氏)

(『ABEMAヒルズ』より)

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