足立区の給付型奨学金“最大3600万円” 年間40人が奨学生に 財源は区の育英資金や競馬組合から分配金を活用
【映像】給付型奨学金を受ける条件
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 異次元の少子化対策に向けて岸田総理は、高等教育の負担軽減に取り組んでいくとしている。そんな中、東京の足立区では誰もが夢を実現できる自治体を目指すとして、返済不要の奨学金制度を新設した。

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 大学進学率が7年連続で過去最高を更新する中、少子化対策につながるとして議論が進められているのが教育費のサポート。政府が奨学金の拡充を検討する中、東京の足立区が思い切った制度を発表した。

「大学入学予定者・在学生に対する全額給付型の返済不要の奨学金。募集人数40人ということで、すでに募集は開始している」(足立区・近藤やよい区長)

 足立区が新年度から始める給付型の奨学金。入学金や授業料、設備整備費として給付されるというもの。その金額というのが、医学部は6年間で3600万円が上限とし、それ以外の学部は4年間で830万円が上限となる。

 医学部だと最大3600万円というインパクトのある金額。高校での成績が平均4.0以上、世帯年収が800万円以下(4人世帯の目安)であることなどが条件となる。

 書類や面談による選考を経て、年間40人が奨学生に。財源は奨学金などとして運用されている区の育英資金や、競馬組合からの分配金を活用するという。

「足立区では貸付型の奨学金をやっていて、だんだん減ってきているところがあった中で、みなさんにアンケートをとってきたところ『貸付は厳しい』『卒業時に大きな負債を抱えてのスタートだ』と躊躇しているところが見て取れた。不安なく学業を全うできるように足りる金額というところで設定した」(足立区学校運営部学務課長・飯塚尚美)

 足立区ではさらに、高校生応援支援金や、高校中退者の学びなおしのためのサポートなど、若者に対する切れ目のない支援を目指していくとしている。

「小中学生でおしまいということではなく、“足立の子ども”という考え方なので、都立や私立高校に行こうが、大学に行こうが、足立で育てなければならない子どもということは変わらない。医者になりたい、理系に行きたいなど、経済的に環境が厳しい中でもそれが実現できる自治体を目指していきたい。

 奨学金だけではなく、それだけがあっても夢が実現できるわけではないので、そこに向かっていく細かいプロセスを1つ1つ丁寧に拾っていって、夢の実現できる足立区という名実ともにそういう自治体にしていきたい」(足立区長・近藤やよい)

足立区の給付型奨学金“最大3600万円” 年間40人が奨学生に 財源は区の育英資金や競馬組合から分配金を活用
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 足立区がスタートさせる返済不要の給付型奨学金。足立区のもらえる給付型の奨学金とは別で、返さなくてはいけない貸与型の奨学金では延滞問題もある。

 返済義務のある給付金を延滞している理由については、本人の低所得が62.9%、奨学金の延滞額の増加が41.4%、本人の借入金の返済が32.9%となっている。

 足立区の給付の奨学金、そして貸与型奨学金について、ニュース番組『ABEMAヒルズ』は、東洋経済オンライン編集部長の武政秀明氏に話を聞いた。

「現状、大学生の2人に1人が貸与型あるいは給付型の奨学金を受けてる。この給付金は貧困と関係していて、日本の所得が上がっていない中で、大学の学費が増えていて、借りてでも行かないといけないのが問題としてある。そして、給付型については今回、足立区が大胆な手を打ったが、2017年から日本学生支援機構がその制度を作り、それから民間企業等でもそういったものを普及させている。大体1万人ぐらいが対象と言われているが、全体を占める比率としてはまだまだ少ない面がある。そういったところで、貧困から抜け出すために、自己投資であっても借りてでも知恵をつけていくってことは大事になったりする。それを例えば社会としてサポートできるのであれば、企業であれ自治体であれっていうところがそうやって子どもを育てていくことが重要かと」

(『ABEMAヒルズ』より)

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