「寿退社や産休や育休をされると困るので、若い女性は正社員として雇用してません」
「大企業なら1人辞めても代わりはいくらでもいますが、うちのような弱小企業の場合、1人がいなくなると大打撃なんです」
【映像】「社会悪くしてる自覚あります?」ひろゆきvs“若い女性採用しない”経営者(動画あり)
こうツイートしたのは、中小企業を経営する弁理士の瀬戸麻希氏だ。批判を覚悟して投稿したというが、男女雇用機会均等法では性別を理由に差別をしてはいけないことが明確に定められている。ツイートには批判の声が相次いだ一方、「中小で育休社員のカバーをしてきた身としては本当に賛同します」「これが本音ですよね。無理して会社が倒れたら元も子もない」と共感の声も寄せられている。
政府は育休女性のキャリアサポートなどに取り組んでいるが、現実は寿退社や産休育休があるため、そもそも「若い女性は雇用しにくい」と考える中小企業の経営者もいる。そんな中小企業の現実をどう捉えるべきなのか。
ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した瀬戸氏は、ツイートのきっかけについて「新しい飲食業を始めるのだが、過去に子育て世代のお母さんを雇ったときを思い出して、ふとツイートしてみたくなった。採用しないので『応募してこないでほしい』と言えば、わざわざ履歴書が送られてくることもない」と述べる。
大阪で2つの企業を経営しており、合わせて11人を雇っている瀬戸氏。かつては20代、30代の女性を採用したこともあったという。
「子供のケガや『病気で熱を出した』と言ってよく休まれた。その人が当日いきなり欠勤すると、他のスタッフが出なきゃいけない。代わりがいればいいが、その代わりのスタッフもいない状況だ。すると、仕事の負担が全員に増えてしまう」
現に育休産休を取った後、そのまま辞めてしまうスタッフもおり、経営者としては大変な思いもしたという。
瀬戸氏の説明に、ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「思っても口に出すべきではないことだ」と指摘する。
「採用しないのは自由だ。例えば、日本の大企業は、障害者を従業員として2.3%雇用しなければいけない。いろいろとコストも手間もかかる。でも、経営者やスタッフが『障害者を雇うと大変だよね』と思っても、それは言うべきではないと思う。育休産休も同じだ。瀬戸さんのように公言すると『あ、それ言ってもいいんだ』と思われて、余計に雇用が難しくなる。 思うのは自由だが、公言するのは違うと思う」
ひろゆき氏は「僕も中小企業を経営していた。経営者として『若い女性を雇うと大変だ』『子供を作ってほしくない』と思うのは当然だ」とした上で、「瀬戸さんは社会を委縮する形に持っていっている」とコメント。
「公言すると『子供を作っちゃいけないんだ』『若い人を雇うのをやめよう』と社会が萎縮する。別に応募欄のところに『若い女性は採用しません』と書けばいいだけだ。でも、Twitterで書くと、応募者じゃない人も見て『こう考える経営者がいるんだ。共感している人が多いから正しい考え方なんだ』と思う人が増える。瀬戸さんは、社会を悪くしている自覚あるか?」
ひろゆき氏の質問に、瀬戸氏は「今のところはそこまではなかった」と回答。「現実的に、もっと見合った補助をしてくれる国の仕組みがほしい」と述べた。
不妊治療を約7年行い、双子に恵まれた瀬戸氏。「産休育休はゼロだった」という。
「働くことと子育ての両立は厳しい。私は双子だったので帝王切開だったが、帝王切開の当日まで働いて、産後4時間後ぐらいから仕事を始めた」
ひろゆき氏は「そういうものとして、仕方なく受け入れるしかないと思う」とした上で、「『先輩もこんなにつらい思いをしたから、後輩も同じ思いしろ』みたいなのはよくない」と持論を述べる。
「瀬戸さんが産休育休もない中、極限まで働いて子供を産んだのはわかった。でも『若い人も同じ思いを味わえ』と考えるのは違う。そんな思いを今後の若い人たちがしないように、子供を産んだら1000万円あげて、会社もお金を払わなくていいようなシステムが作られるべき。従業員として雇わない話にする必要はない」
ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「50歳ぐらいの中年男性が同じツイートしたら、総バッシングで間違いなく大炎上だ。それを女性がツイートして、こうやって議論されている。一方的に誰かを悪者扱いしてしまうと、議論はそれで終わってしまう」とコメント。
「経営者だけが割を食って、全部の責任を負って雇わなきゃいけない構造になっている。それはあまりにもかわいそうだ。だから今の日本は貧しくなっている。子供を産みたいのに産めない、働きたいのに働けないと割を食っている女性もいる。割を食う人をどれだけ社会全体から減らしていけるかが大事だ」
番組の最後、瀬戸氏は「本当は産休育休を取って欲しいし、社員にも取らせてあげたいと思っている。だが、現状では難しい」と吐露。
「理想と現実が乖離している。中小企業でも取れるよう、国が動いてほしい。制度をもっと充実させて、人的資源や助成金をもっと増やしていってほしいと思う」
(「ABEMA Prime」より)
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