“オフレコ破り”が物議 「秘書官に“オン”がないのにオフを報じるのはおかしい」「実名を出さない工夫はいくらでもできる」「絶対書かない」 舛添氏、政治部記者ら激論
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 総理秘書官だった荒井勝喜氏の発言をめぐって、「オフレコ破り」の是非が議論されている。荒井氏は性的マイノリティ当事者について、「見るのも嫌だ。隣に住んでいたら嫌だ」などと発言し、岸田文雄総理は荒井氏を更迭のうえ、謝罪した。

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 荒井氏は今回の発言を、記録を残さず、原則として公にならない、オフレコ(オフ・ザ・レコード)として述べていた。それが報じられたことは「オフレコ破り」だと物議を醸し、SNS上でも賛否両論が出ている。オフレコが適用される範囲は、そして報道の手法は——。元厚生労働大臣の舛添要一氏とジャーナリストらが議論を交わした。

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 舛添氏は今回の件について、海外ではオフレコの約束を守れない記者は会見から追放されるとして、過去に何度もあったオフレコ破りを受け、「日本を支配しているかのような気分の傲慢な若造記者が堕落するのは当然である」などと、Twitterで批判していた。

 このツイートに対してABEMA NEWS政治担当の今野忍記者は、記者の劣化とオフレコ破りは別の話だと指摘しつつ、オフレコの中でも一言も漏らさない「完全オフ」から、「総理周辺」のように発言者を名指ししないものの中身は報じるケースなど、それぞれに濃淡があると説明。その上で、荒井氏の発言は「オフ度の低いものだった」と見解を示す。

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「(秘書官取材には)自分も1年くらい前、毎日のように参加していた。総理官邸の裏口で、10社以上の記者が囲みでやっている。秘匿性がなく、誰が聞いているかわからない。破るのが悪いのは前提としてあるが、極めてオフとしては低い」(今野記者)

 総理秘書官のオフレコ取材では、政策の背景などを説明するため、「暗黙の了解で引用することもある場」での発言だったとの認識を示す今野記者に対して、舛添氏は「オンがあるからオフがある」と、公式の記者会見がなかった荒井氏に対して、オフレコ取材を行うことが「基本的におかしい」と反論する。

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 元毎日新聞政治部の宮原健太氏は、秘書官へのぶら下がり取材は官邸で定例的に行われていることもあり、「日常的な取材の中で、差別発言をしてしまうというのは、あまりにも意識が低すぎる」として、「今回、オフレコ取材が批判されるのはあり得ない」と語る。

 元日本テレビ解説委員の青山和弘氏は、「官邸関係者が〜」「総理秘書官のひとりが〜」と報じるのがルールであり、第一報から実名を出すのは「荒っぽいやり方」だと語る。官邸クラブの記者はルールを破るのだと判断され、今後記者は秘書官から遠ざけられる可能性があると危惧する。

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「オフレコが必要なのは、政権に都合の悪い話も聞けるところにある。オンレコで総理大臣の悪口は言わないが、官僚の中には不満を持っている人が『オフレコだから』と教えてくれることも。実名では言えないことを知れるのがオフレコ」(青山氏)

 テレビ朝日ニューヨーク支局長の中丸徹氏は、アメリカにもオフレコの概念があるが、あまり「オフレコ破り」は聞かないと話す。一方で、オフレコでの発言に「オンで言って」と呼びかけて、実名報道に至った例はあるという。

「オンにする作業をやっている点で、オンとオフの境界線がハッキリしている。アメリカの方が狡猾で、10社近く集まる平場でのオフレコはなく、数社の信頼関係ある人を集めて説明することが多い。権力者側はなにかの意図を持ってオフレコで漏らすため、コントロールされるリスクはある。一方で、それによってわかる真相もある。懐に飛び込みつつ、コントロールされないよう、記者の腕が問われる」(中丸氏)

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 では実際、それぞれのジャーナリストだったら、今回の発言を記事にしたのだろうか。

「現場の記者でいたとすれば、まず『書きますよ。いいんですか』とただす。その時に『取り消す』となれば、また違ったと思う。ただ自分がキャップ(記者のとりまとめ役)で、『こういう発言がありました』と報告を受けたら、交渉して『オフだけど書く』と判断した可能性は高い」(今野記者)

「自分が現場にいたら『オンレコでもう一回言って下さい』『いまのは問題になりますよ』と指摘したが、官邸クラブにいるのは極めて若い記者。(発言者が)どういう存在なのかが焦点で、閣僚であれば資質に関わり、国民から選ばれた政治家でもある。荒井氏は事務方のため、実名報道がいいのか判断がわかれる。オフレコ破りと言われない、工夫したやり方もある」(青山氏)

「オフレコ取材の約束なので、私は絶対に書かない。どういった場であろうとも、オフであれば書かない。ただ、総理秘書官のひとりが『秘書官全員、同じ意見だった』と言えば、そういう空気で政策決定しているのだなと伝わる。手法としては『オンでもう一回聞かせて下さい』と言うこともある。それでも言わない場合でも、総理への質問に生かすなど、それが伝わる手法を考える」(中丸氏)

(『ABEMA的ニュースショー』より)
 

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