「私たちは世界から見捨てられたことがわかった」
大地震から1週間。避難所さえない。助けも来ない。絶望のなか、聞こえてきた言葉だ。
シリア北西部、アサド政権やロシア軍から追いやられた人々が身を寄せ合っていた。
アラブの春に端を発したシリア内戦から12年が経ち、「ようやく生活を取り戻した」という矢先、日本時間の6日午前、大地震が家と仕事、家族を奪った。
これ以上ないほど過酷な状況のなか、国際社会からの助けも支援物資も届かない。避難所さえない。衛生環境も劣悪だ。
なぜ、このような事態に陥っているのか?
現地の話を、2015年からシリアの反政府勢力が支配する北西部で人道支援・学校運営を行っている特定非営利活動法人Stand with Syria Japan(スタンド・ウィズ・シリア・ジャパン)の山田一竹(いっちく)理事長に聞いた。
今回の地震によるシリアにおける被害は死者5800人以上、負傷者5273人となっている。現地の状況は。
「言葉では言い表せないほどひどい状況です。見渡す限り瓦礫の山。地震から丸8日以上経ちましたが、瓦礫の下の人を助けようとしている人で溢れています。支援物資も外国人スタッフも辿り着けていません。全くと言っていいほど、北西部には支援の手が届いていませんでした。なぜなら、アサド政権が検問所で意図的に反体制派地域への支援を遮断していたのです。一刻を争う状況のなか、国際連合の対応も遅きに失しています」(山田氏)
13日、1カ所しか認められていなかった支援物資の搬入ルートがアサド政権の同意を得て新たに2カ所増えた。とはいえ、地震から一週間が経過したにもかかわらず、避難所さえもないという異常事態なのだ。
東日本大震災のとき、日本は数え切れないほどの支援を受けた。我々日本人にできることはあるのか。
「シリア政府を通さない、直接支援を届けられる団体もあります。一人でも多くの方が人間らしい生活を取り戻す、そのお手伝いをしていただけたらと心からお願いします」(山田氏)
特定非営利活動法人Stand with Syria Japan(Twitter@SSJ__official)ではHPで義援金を募っている。
ここで障壁になってくるのが寄付へのハードルだ。
日本人は相互扶助の気持ちを持ち合わせている国民性だ。にもかかわらず寄付の文化がないためか、「その一歩」が重い。
アフリカの素材を使ったアパレルブランド CLOUDYのCEOであり、海底火山の噴火と津波で被災したトンガを支援した銅冶勇人氏にも話を聞いた。
「個人による寄付も大事ですが、企業も積極的に動いてほしいです。海外の企業は当たり前のように支援活動を行い、発信しています。海外進出を意識している企業こそ、積極的に旗を振ってほしいです。そして、現地の正確な情報を知ること、忘れずに心に留めておくことも大事です」(銅冶氏)
内戦という危機の中で地震というさらなる危機を迎えたシリア。避難所もなく、全てを失い「世界から見捨てられた」と絶望している人たちのために我々にもできることはある。
「一つでもできることを見つけ、行動することが大事です」(銅冶氏)
(『ABEMAヒルズ』より)
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