都内で急増している性感染症の「梅毒」。16日、東京都は2022年における都内の報告数が1999年の調査開始以来、過去最多の3677件だったと発表した。
東京都のホームページを見ると、1年前の2451件から約1.5倍と急増。中でも、女性の報告数が増加していて、直近10年で約40倍になっている。こうした事態を受け、都は梅毒の早期発見を目的に、無料かつ匿名で受けられる検査所を都内4カ所に設置すると発表した。
増加の背景には何が起きているのか。専門家は次のように話す。
「最初は同性間の性行為で増えていたが、ここ数年は男女間に広がってきて、そういうお仕事をされている方も、そうじゃない一般の方々にも広まってしまっている。もう一つは、梅毒の届け出をこれまで適切に医師がしていなかった可能性があることだ。コロナのこともあり、感染症法の届け出が医師の間でも再認識された」(KARADA内科クリニック五反田・佐藤昭弘院長)
連日、新型コロナウイルスに関するニュースが流れる中、医師の間では感染症の届け出に対する意識が変わったという。そんな梅毒だが、「ほかの性感染症とは違う点がある」と佐藤院長は述べる。
「コンドームをつけていても防げない。ほかの性感染症は、コンドームをつけることによって粘膜と粘膜面の接触が減ることで防げるが、梅毒に関しては、相手の病変部とコンドームが覆えてない場所が接することによってうつってしまうことがある」
梅毒患者の増加の背景には、感染を防ぐ難しさもあるようだ。もし、梅毒になってしまった場合、どうすればいいのか。佐藤院長は「注射1本で治るようになっている」と明かす。
「昨年からおしりに注射を1回、もしくは病態によって3回ほど打つ治療法が認可された。それ以前は、飲み薬を約1カ月、1日3回飲まないといけなかったが、注射1本で治るようになってきている。だが、残念ながらその治療法が出現したことによって『梅毒が減った』というニュースはない。薬を1カ月飲むのは、症状がない人も含めて難しい。途中で治療を中断してしまい、中途半端に治療された“治っていない人”が多いのも1つの要因だ」
感染を防ぎにくい梅毒。“無症状”のケースもあるそうだ。
「注射が出たことで患者が減るといいなと思っていた。薬は効きやすいので、きちんと検査をすれば比較的簡単に治療もできるし、合併症も後遺症もなく治る。まずは、検査を受けて自分が梅毒だと気づくことが重要だ」
梅毒とは、実際どのような病気なのだろうか。『ABEMAヒルズ』に出演したバイリンガル医師のニコラス・レニック氏は「梅毒の症状は、大体1期、2期、3期に分けられる」として、次のように説明する。
「1期の主な症状としては“できもの”がある。ヘルペスと勘違いする人も多く、放置しておくと1カ月ほどで自然に消えてしまう。『治ったから結果オーライか』と思う人もいるだろうが、そうすると、数カ月後に2期の症状である“熱と全身の発疹”が出てくる。
(梅毒の)発疹は、手のひらにもできる特徴がある。実は、手のひらにできる発疹の病気は多くない。そして、放置すると発疹が自然に消える。そこでも『治ったからいいか』とすると、数年後に3期の症状である“他の臓器の炎症”が起きてしまう。脳や心臓にも影響が出るので、過去に症状があって放置していた人も治療したほうがいい」
続けて、レニック氏は、梅毒の治療や予防についても述べ、「疑いがあったならすぐに病院へ」と重ねて訴えた。
「日本は珍しく内服薬での治療をずっと続けていた歴史があるが、最近は海外と同じようにペニシリンの注射で治療できるようになった。梅毒は、HIVなどと違って治療しやすい病気だ。少しでも疑うなら検査した方がいい」
「コンドームで100%予防できるとは言い切れないが、大幅にリスクは下げられる。コンドームを付けることも重要だ」
(『ABEMAヒルズ』より)
この記事の画像一覧■Pick Up
・キー局全落ち!“下剋上“西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・「ABEMA NEWSチャンネル」知られざる番組制作の舞台裏