「どうすればこの日を忘れられる?」 侵攻開始から1年…元ウクライナ代表FWヴォロニン氏が胸中明かす

 ボルシアMGやリヴァプールなどで活躍した元ウクライナ代表FWアンドレイ・ヴォロニン氏が、ロシアによるウクライナ侵攻から1年のタイミングで、胸の内を明かした。25日、ドイツ紙『ビルト』が報じている。

 2022年2月24日、ロシアがウクライナへの侵攻を開始した。ヴォロニン氏は当時、ロシアのディナモ・モスクワでアシスタントコーチを務めていたが、この出来事を受けすぐに退団。モスクワの自宅を捨て、家族、愛犬と共にデュッセルドルフの第2の家に逃げ込んだ。

 ヴォロニン氏は当時を振り返る。

「どうすればこの日を忘れられる? モスクワにいて、寝ていた。子供たちが『パパ、戦争だ!』と起こしてきた。それから携帯電話を起動させた。誕生日の時みたいに、多くのメッセージが届いた。それからテレビをつけ、信じられないことが起きていると理解した。そして、1年が経った。この期間、ウクライナの人々が耐えなければならなかったこと…私たちの街、亡くなった民間人、子供たち、女性。長い間、電気も水も無い…」

「(「侵攻開始以来、ロシアに対する見方はどう変わった?」と問われ、)子供たちが爆撃で亡くなった時、人々はどう喜ぶことが出来る? そんなことは想像出来ない(はずだ)。しかし、このような人々はロシアに存在する。普通の人なら皆、戦争に反対しなければならない。

多くの人にとって、関係が壊れた。でも自分は、自分のことを侮辱するロシア人からコメントを受け取ったし、今も受け取っている。『お前は喜んで私達の金を取った。そして今、あなたは私達に反対している』とね。それはモスクワでの仕事のことを指している」

 そして、ドイツ国内では、ロシアに対するデモも行われている。これについて、感謝を述べたうえで以下のように続けた。

「ありがとう。そして、誰もが自分の人生を持っている。そして、もちろん誰もが(この戦争に)うんざりしている。欧州では価格が爆発的に上昇しているし、インフレと不確実性もある。しかし、お願いだ。ウクライナでは毎日、人々がロシアの爆弾で殺されている。我々は皆、平和を望んでいる。しかし、それは現時点のロシアでは不可能だ。(ウラジーミル・)プーチン大統領がいなくならない限り、多分ね」

 最後に、戦争終結への想いを口にした。

「(ウクライナに戻る日を)夢見ているし、願っている。戦争が過ぎ去り、子供たちと一緒に生まれた場所(同国南西部のオデーサ出身)に行けるように祈る。母は戦争が始まる直前に亡くなった。1年以上、母の墓に行けていない。とても悲しいし、泣いている。たとえ、墓地の中だけでも私は訪ねたい。

(この戦争はどのように終わらせられる?) この質問を自問自答している。答えは見つからない。我々は皆、これが出来るだけ早く起こることを願う。街を取り戻すこと。でも、どれ位の時間がかかるか、そのためにさらに何人犠牲者が出るのか、誰も分からない。善良な神でさえも分からないよ」