将棋ファン感動の大粒涙から1年 伊藤沙恵女流名人「人間的に得るものがあった」「今年はいいものをお見せしたい」/将棋・女流ABEMAトーナメント
【映像】涙、涙の前回大会を振り返る伊藤沙恵女流名人

 多くの将棋ファンが感動した大粒の涙から1年、成長した女流棋士が同じ舞台に帰ってくる。女流棋士3人1組で戦う超早指し戦「女流ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議の模様が3月4日に放送される。昨年、準決勝で敗れた際のインタビューで、ぽろぽろと涙を流したのが伊藤沙恵女流名人(29)だ。「もっと一緒にいたかったなという気持ちで、感情がこみ上げてしまいました」というほどチーム愛が強かったが、その悔しさを糧に、その後に行われた女流名人戦で、悲願の初タイトルを獲得した。人間的に大きく成長するきっかけとなった大会で、今年狙うのは嬉し涙だ。

【映像】涙、涙の前回大会を振り返る伊藤沙恵女流名人

 伊藤女流名人は昨年、室谷由紀女流三段(29)、石本さくら女流二段(24)とチームを組んだ。伊藤女流名人は、その性格から言葉でぐいぐいと引っ張るタイプではないが、とにかく将棋で仲間を鼓舞しようとする姿勢は確実に2人に伝わり、難所を乗り越えてベスト4入りを果たした。「みんなと一緒の目標に向かって頑張る、みたいな経験があまりなかったので、すごく貴重な経験をさせていただきました。チームを組んでから、どんどんみんなの気持ちがつながっていくような感じがありました」と、不慣れな団体行動にも、多くの学びと喜びがあった。準決勝で敗れ、そこでチーム解散が決まると、言葉にしようとすればするほど涙が溢れ、2人の仲間ももらい泣きした。この涙は公式戦にもつながり、女流名人のタイトルを取った際には、またも涙。人とのつながり、支えの大きさが身に沁みた。

 女流棋士として多くのものを得た大会だが、振り返れば個人戦だった第1回大会の優勝者でもある。いろいろと成長できる場に、今年はどんなイメージを持って臨むのか。「前回よりは若干イメージは作ってきました。割と年代が近いところに行きたいなと思います。前回とは違うメンバーで行こうかなと思うんですが、他の方々が同じなのか、全く変えて来るのか。変えてこないなら重なる可能性はありますね」と、昨年出場のメンバーをリストに加えているようだ。

 昨年リーダーは経験したものの、変わらず引っ張るというよりも3人で戦うというコンセプトは変わらない。「自分は誰かを引っ張っていくタイプではないので、一緒にみんなで頑張っていけるような、和気あいあいとしたチームにできればいいですね。前回は自分が、特に予選で内容がよくないものが多かったと感じていまして、それよりはいいものをお見せできたらいいなと思っています。チームとしても、このチームで戦えてよかったよねと最終的に思える感じで過ごしたいです」。優勝して嬉し涙を流した先には、公式戦でも昨年を超える活躍が待っている。

◆女流ABEMAトーナメント 第1回大会は個人戦、第2回大会から団体戦になった。第3回の「2023」は4人のリーダーがドラフトで2人ずつ指名、3人1組のチームを結成し、トーナメントで優勝を争う。持ち時間は5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は5本先取の9本勝負で行われ、第5局までに必ず全員が1局以上指さなくてはならない。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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