フランクフルトの日本代表MF鎌田大地の2月は、カップ戦の1アシストのみに終わり、サポーターからの風当たりが強くなりつつある。チームも過密日程のなかで公式戦3勝3敗とやや調子を落とした。過熱する移籍報道と浮き沈みの激しかった鎌田の2月を振り返る。
【映像】移籍報道で揺れる鎌田大地 フランフルトにとっても厳しい1カ月
2月5日:ヘルタ戦はらしさ全開のプレーで勝利に貢献
ブンデスリーガで対戦した格下ヘルタ戦は、試合前の予想通りフランクフルトが押し込む展開が続き、鎌田はボランチとしてゲームをコントロールした。普段よりも高いポジションを取り、鋭い縦パスや味方との連携で攻撃の起点となった。特に38分には、サイドに流れて敵を股抜きでいなし、スルーパスを通すという鎌田らしさ全開のプレーで好調をアピールしてみせた。3-0で快勝し、鎌田とフランクフルトは順調な滑り出しを見せていた。
2月13日:ケルン戦は格下相手にまさかの大苦戦……
ケルンは、完璧なゲームプランを持ってフランクフルトを叩きのめした。鋭いカウンターとフランクフルトを意識したビルドアップで、次々と決定機を作っていく。カウンターを被弾し、鎌田も守備に追われ、ピッチを縦横無尽に走り回った。失点後は後方からの飛び出しで決定機を迎えるが、決め切ることができずチームも敗戦。地元メディア「Frankfurter Rundschau」はチーム最低点を鎌田に与えるなど、非常に厳しい評価に終わった。
数日後にはかつてフランクフルトに在籍していた元ノルウェー代表FWヤン=アーゲ・フィヨルトフト氏が、「W杯後、穴に落ちてしまった。彼の周りはたくさんの憶測が流れているからね」と前半戦の輝きが取り戻せない鎌田の状況をこのように分析している。
2月19日:ブレーメン戦で輝きを取り戻す
批判の声を集めたケルン戦から1週間で迎えたブレーメン戦、鎌田は本来のクオリティを発揮し、ピッチ上で再び輝いた。試合序盤からゲームをコントロールし、鎌田は相棒のゲッツェと共に多彩な攻撃を見せた。
目の醒めるような縦パスや柔らかいトラップでチャンスを作り続けた鎌田はこの日、復活の狼煙をあげた。2点リードして迎えた74分に見せた、右へ左へ動きながら味方へパスを供給しつつゲームをコントロールする姿は、まさにピッチの王様のようだった。
2月26日:ライプツィヒ戦で苦境に立たされる
試合前、フランクフルトのメディアは鎌田の話題で持ちきりだった。鎌田が、国内ビッグクラブであるドルトムントとの口頭合意が大きく報道されたのだ。かねてよりフランクフルトとの契約更新に応じてこなかった鎌田が来夏、フリーで国内のクラブへ移籍するというニュースだけあって、現地メディアは穏やかではなかった。
鎌田に大きく注目が寄せられたRBライプツィヒ戦。相棒のゲッツェが負傷欠場したため、鎌田はこの日、今季よく務めていたボランチではなく、昨季に主戦場としていた2シャドーの一角として出場することとなった。しかし、中盤でボールを受けてもライプツィヒの国内屈指のプレッシングにハマり、パスミスを連発。鎌田の魅力である創造性とテクニックは、ライプツィヒの高い守備強度によって打ち消され、攻撃面では何もできなかった。
結果、フランクフルトはライプツィヒに敗北。鎌田は現地紙から今月2度目となるチーム最低評価をつけられた上に、「彼の心はもうドルトムントにあるだろう」と移籍の噂と絡めて、低クオリティに終始したプレーを揶揄されてしまった。
2月はUEFAチャンピオンズリーグ出場圏内だった4位から転落して6位となってしまうなど、フランクフルトにとっても厳しい1カ月となった。鎌田も波に乗り切れず、カウンターを得意とする2チーム相手に散々な結果に終わってしまった。来たる3月は、起死回生のパフォーマンスを発揮できるのか、鎌田のプレーに期待がかかる。
(ABEMA/ブンデスリーガ)